事業再生の手順とは?種類と6つの流れ・進め方について解説

2023年07月07日

事業再生の手順とは?種類と6つの流れ・進め方について解説

事業再生の一般的な手順

会社の債務を整理して再生計画を実行し事業を立て直す事業再生。ちゃんと手順を踏んでいかないと再生できるものもできなくなってしまいかねません。逆にステップを着実に踏んでいけば、挽回できる可能性は十分にあります。

この記事では事業再生の手順について解説します。業績が悪化して事業再生を考えられている経営者の方、事業再生の方法を調べられている方は、特に今回ご紹介する流れをしっかりと念頭に置いておきましょう。

事業再生の種類

事業再生の種類事業再生には、大きく分けて裁判所が介在して債務の整理や事業の立て直しを図る法的再生と、裁判所が介入せず債務者と債権者が話し合う私的再生の2種類があります。

法的再生には事業の立て直しを目指す再建型と、会社を清算する清算型があり、さらに再建型は民事再生、会社更生、特定調停という手法が、清算型は破産、特別清算というように、手法は多岐にわたります。一方、私的再生には私的整理ガイドライン、中小企業再生支援協議会、事業再生ADRという手法があります。

いずれの手法においても、事業再生までの流れはそれほど大きく変わりません。今回ご紹介する手順を踏んでいくことになります。

主に中小企業が利用する再生方法

中小企業の場合は経営者が会社に残って債権者と協議して債務を整理しつつ再建を進めていく民事再生、簡易裁判所が会社と債権者の間に入って弁済方法を協議する特定調停、債権者との話し合いによって債務を整理しつつ再生を目指す私的再生が事業再生の手法としてよく用いられます。

一方、中小企業や零細企業の経営は社長のノウハウや人脈ありきの側面も大きいです。また、事業規模が小さい場合、なかなか支援してくれるスポンサー企業が見つからないものです。こうした中小零細企業ならではの事情から、経営者が経営から退かなければならない会社更生や、スポンサー企業に事業を譲渡するM&Aはどうしても選択しづらい手法といえます。

一般的な事業再生の流れ

事業再生には主に「状況・実態調査」「事業再生の方針検討」「デューデリジェンス」「事業再生計画を立てる」「資金調達」「事業再生の手続き」という6つの手順があります。いずれも事業を立て直すにあたっては非常に重要な行程で、どれも気を抜くことはできません

以下で事業再生の各手順について行うべき事柄や事業再生を成功させるためのポイントをご紹介します。また、前述のとおり事業再生の方法はさまざまありますが、概ねどの手法であっても大まかな流れは同じです。しっかりと以下のことを頭に入れておきましょう。

状況・実態調査

まずは会社がどのような状況にあるのか?資金繰りの実態はどうなっているのか?を把握しないことにははじまりません。また、ここで漏れやミスなどがあると再生計画が狂ってしまいます。財務状況、借り入れをしている金融機関と借り入れ残高、担保の状況、売上、損益状況、収支など、会社の状況や実態をしっかりと見直し確認しましょう。会計データや資金繰り表、財務諸表などの資料を参照する、役員や従業員への聞き取りなどを行って調査します。

事業再生の方針検討

会社の状況を把握したら、それにもとづきどのような手段を用いるのか?どのように事業を立て直していくのか?という事業再生の方針を決めます。まず優先すべきは債務の処理です。借金をどうにかしないことには事業を立て直すことはできません。債務を全額弁済できる方法があるかどうかを検討しましょう

とはいえ、事業再生が必要になった時点で、返済は相当困難な状況であると言えます。債務の弁済ができない場合は、債務の免除が受けられるかどうかを検討します。たとえば債権者と話し合ってどうにかできるようであれば私的再生でもいいかもしれません。債務者が多い場合は手続きの透明性や公平性が高く、かつ法的効力が発生する法的再生も視野に入れる必要があります。

デューデリジェンス

デューデリジェンスとは出資先や投資先の企業の価値やリスクを調査することを指す投資用語です。事業再生においては会社の財務状況や事業内容を精査するという意味合いがあります。

会社の資産・負債の額やその内容、経営実態を明確にすることで、事業再生計画の材料となります。また、債権者から債務免除やリスケ(返済条件の変更)を受ける際には、返済の見込みを示さなければなりません。債務者向けの説明を行うためにもデューデリジェンスは必須の行程といえます。

事業再生計画を立てる

デューデリジェンスの結果をもとに事業再生計画を策定します。コスト削減や場合によってはリストラなどで出費を抑え、一方で売上や利益を向上させるための施策を考えます。3~5年で黒字化に転換できるような計画を作成することが大切です。収支(売上、経費、利益)の予測に関しても少なくとも向こう3年分は作成しましょう。

また、事業再生は思ったようにことが運ばないケースも多いです。不測の事態が発生することも多々あります。予測は常にシビアに、最悪の状況も想定しましょう

資金調達

事業を立て直すために必要となる資金を確保します。金融機関から追加融資を受けることで資金の調達が可能ですが、借り入れを断られた場合はリスケジュールで毎月の返済額を軽減してもらったり返済時期を延ばしてもらったりすることで、当面の運転資金を確保することもできます。また、スポンサーを探して出資を受けるのも手です。

追加融資やリスケ、出資を受ける際には事業再生計画を提示してプレゼンを行う必要があります。資金調達をスムーズに行うためにも、現実的な事業再生計画を立てましょう。

事業再生の手続き

資金調達の目処が立ったら、いよいよ事業再生に入ります。私的再生の場合は債権者をはじめ株主や取締役、従業員、取引先などの利害関係者にしっかりと事業再生に至った経緯や会社の状況、今後の見通しを説明し、誠心誠意謝罪を行った上で、再生に向けた協力を仰ぐ必要があります。

法的再生の場合は裁判所に申し立て手続きを行うことになります。裁判所が介在して決定に関しては法的効力が発生しますが、やはり利害関係者に対しては誠心誠意説明・謝罪をして、理解を得る姿勢が大切となります

事業再生の専門家はだれ?どんな人に相談したら良い?

相談経営者一人の力だけでは事業の再建を果たすのはなかなか難しいのが実情です。専門家に第三者視点で助言や支援を得つつ再生を図るのが近道といえます。

まず相談先として候補に挙がるのは顧問税理士や会計士です。ただし、彼らは税務や会計のプロではありますが、事業再生が専門ではありません。最近では経営コンサル的なサービスも売りにした税理士や会計士も増えてきているのですが、全員が経営に明るいとはいえません。そもそも顧問税理士や顧問会計士が本当に経営に強く、適切な助言を日頃からしてくれていれば、事業再生が必要になる事態には陥っていないはずです

法律の専門家である弁護士も相談先の候補に入ります。特に法的再生を行う場合は裁判所で手続きを行うことになるため、弁護士の力が必須です。また、私的再生であっても債権者との間に入って協議をまとめてくれます。しかし、やはり弁護士に関しても事業再生が専門業務ではありません。企業法務を専門にしている弁護士でも得意不得意があるため、慎重に見極める必要があります

相談をするなら事業再生を専門としているコンサルタントがおすすめです。特に経験と実績が豊富であれば、さまざまな事例にもとづいたノウハウが蓄積されているので安心感があります。事業再生において重要となるのは計画と実行力です。事業再生コンサルタントであれば計画段階から実行まで、しっかりと寄り添い、ときには背中を押してアシストしてくれます。また、銀行出身者のコンサルタントがいれば、融資の審査基準や通過するためのポイントを押さえているので、資金調達の面でも有利になります

当社の事業再生の流れをご案内

東京事業再生コンサルティングセンターでは「初回無料相談」「状況精査~再生戦略策定~」「施策プランニング」「実行・モニタリング~徹底伴走~」という流れで事業再生を実現します。弊社ではただ単に事業を立て直すだけでなく、優良黒字企業にV字回復してはじめて事業再生を果たしたと定義しています。そのために「経営体質改善」「資金繰り改善」「事業再生」という3つの軸を柱に、綿密な計画を立て、黒字化に必要なありとあらゆる施策のご提案をさせていただき、実行を強力にサポートいたします。

弊社の事業再生までの詳しい手順については「事業再生の流れ」をご覧ください。また、「経営者の皆様へ」では、事業再生をお考えの経営者様へのメッセージや弊社の強み、お客様に対する想いについて記載しております。ぜひこちらもご一読いただければ幸いです。

資金に関するお悩みもご相談を!

握手事業再生で大切なことは一つ一つの手順を着実に踏んでいくこと。そして綿密な計画とそれを確実に実行する力です。とはいえ、事業再生を成功させるのは容易なことではありません。的確なアドバイスをくれ、実行を後押ししてくれるブレーンがいれば、再建できる可能性が格段に上がります。

東京事業再生コンサルティングセンターでは31年以上にわたって50社以上の中小企業様の事業再生に携わらせていただき、有料黒字企業化へと導いてきました元銀行員や30年以上黒字経営を継続してきた経営者がコンサルタントとして在籍しているため、資金調達の面でも、立て直しの面でも、的確なアドバイスが可能です。

初回相談は無料。さらにご契約から1年間は報酬をいただきません。覚悟と真剣度が違います。事業再生をお考えなら、ぜひ一度東京事業再生コンサルティングセンターにご相談ください。

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本コラムの監修者

事業再生コンサルタント
清水 麻衣子

元銀行マンで、多くの顧客の相手をしてきた実績と数々の中小企業を見てきた知見をもって、東京事業再生コンサルティングのコンサルタントへ。

通常のコンサル会社におけるコンサルタントとは大きく違い、豊富な知識と現場のリアルを把握している、企業を想った本質的なコンサルが魅力。