駄目と分かりつつ経営難で手を出した消費者金融、早速払えない。~こんなときどうしたら?対象方法を解説

2021年01月04日

とあるお客さまからのご相談:

都内でイタリアンレストランを経営しています。
開業から数年は順調に客足が伸びていましたが、数年前にイタリアンの出店ラッシュがあってから、競争が激化し、客足が遠のくようになりました。

コロナ前まではなんとかギリギリやっていける状況でしたが、コロナ後の売上はほぼなく「このままでは店を畳むしかない」という局面を迎えています。

「どこにも頼れないし、人件費や経費の支払いも厳しい」という状況だったので、政策金融公庫の「コロナ特別貸付」を申請しました。
しっかり書類をそろえて審査に臨んでみましたが、あえなく玉砕してしまいました……。

そこで、消費者金融から300万円ほど借金をしました。担保も保証人も必要なかったし、事業資金に使えるタイプの融資だったので、自分にはちょうどよかったんです。

しかし、正直なところ、売上が回復しないため、毎月わずかながらの返済にもかかわらず、かなり厳しい状況です。

ここのところは、まともに睡眠も取れていません。
私は今後、どうしたらいいでしょうか。何かアドバイスをください。
(飲食店の経営者Aさま より)

上記は、飲食店の経営者さまから当社に届いた相談の実例である。
要約すると以下の通りだ。

競合店の出店ラッシュにより、数年前から客足が遠のくようになった。
さらにコロナ禍の影響で、売上がほとんどない状態であったことから「消費者金融から運転資金」を借金した。
しかし、売上が回復しないため「借金が返せないかもしれない」といった状況である。

シリーズ連載企画の第3回目は「消費者金融からの借金が返済できない悩み」にフォーカスを当てる。

「消費者金融の借金を返すためにはどうするべきか」知りたい方は、ぜひ本記事に目を通してほしい。

【こんな方におすすめの記事です】
  • 「消費者金融からの借金が返せない」ときの対処法が知りたい
  • 「消費者金融からの借金を滞納するとどんなことが起こるのか」知りたい

安易に逃げ回る、はぐらかすのは危険!

元々経営が厳しかったが、新型コロナウイルスの影響で倒産寸前の窮地に立たされた―そのようなご相談をいただくケースが、昨今では増えている。

とりわけ多いのが、「消費者金融から借金をしていて首が回らない」といったケースだ。当社にご相談にいらっしゃるタイミングで、消費者金融から融資を受けている方が、たいへん多いのが実情である。

冒頭で紹介した飲食店の経営者のAさまも、300万円もの借り入れをしていた。

消費者金融は、審査スピードや融資スピードが「最短即日」であることが多く「絶体絶命のピンチ」を切り抜ける際には、大きな助っ人になる。
返済ができれば、ファクタリングよりも年間の実質利率が低いため、大きな問題には発展しないだろう。

とはいえ、返済を滞納するのは「NG行為」だ。
なぜならば、最終的には「財産の差し押さえ」が断行される可能性があるからだ。

「財産の差し押さえ」までには、さまざまなパターンがあり「ケースバイケース」なのだが、ざっくりとまとめると、以下のようなステップを踏むことが想定される。
「消費者金融からの借り入れが滞納している」という経営者さんは、ぜひ覚えておいてほしい。

消費者金融の「返済滞納」で起こる“最悪のシナリオ”
返済日からの
経過日数
延滞したうえ無視し続けた場合に起こること
1日後
  • 「遅延損害金」が発生する(年率14.0~20.0%)
  • 支払いの催促が「ショートメール」にくる
3日後~
  • 支払いの催促が「自分の携帯電話」宛にくる
3~7日後~
  • 支払いの催促が「自宅の固定電話」や「勤務先」宛にくる
1・2週間後~
  • 支払いの催促が「ハガキ」でくる
2ヵ月~
  • 信用情報に「長期延滞」の情報が登録されてブラックリスト入りする
  • 返済しても5年間は借り入れが不可能になる
  • 最終通告として「催告書」が届く(法的措置に関する言及/借り入れた金額の一括返済を求められる)
3ヵ月~
  • 裁判所から「支払督促申立書」が届く
    (2週間以内に「異議申し立て」を行う必要あり)
3ヵ月2週間後~
  • 「仮執行宣言付支払督促」が届く
  • 消費者金融側が任意のタイミングで「財産差し押さえ」の強制執行手続きを行う
  • 財産の差し押さえ

参考:
https://camatome.com/2012/07/promise-entai.php

上記は、カードローンの場合のシナリオだが、ビジネスローンの場合にも同様の結末を迎える可能性がある。時系列を追って、詳しく説明していこう。

滞納1日後~:「遅延損害金」の発生と「支払い催促のメール」が届く

消費者金融からの借り入れを滞納した翌日には「遅延損害金」と「支払い催促のメール」が届く可能性が高い。

「遅延損害金」とは、借金の滞納にともなう「罰金」のようなものだ。
消費者金融で「分割返済」を選択すると、毎月1回、返済日が訪れるが、その返済日までに、何らかの事情で「滞納」すると、滞納日の翌日から罰金が発生するのだ。
この罰金は、通常、20%(年率)となっている。

「遅延損害金」の計算式は、以下の通りだ。

遅延損害金の計算方法

「借り入れ総額」×「年率」×「滞納日数」÷365日=遅延損害金

例えば、飲食店経営者Aさまが、30日間滞納した場合で考えてみると、以下の金額になる。

「借り入れ総額(300万円)」×「年率(20%)」×「滞納日数(30日)」÷365日
「49,315」円(遅延損害金)

つまりA様の場合、30日間返済を滞納すると、「利息つきの返済額」に加えて、49,315円もの遅延損害金を支払わなければならないというわけだ。
しかも、滞納日数に応じて、遅延損害金は日増しに膨れ上がるため、支払総額は積み上がる一方である。

この時点で、信用情報にキズがつくようなことはないが、滞納した翌日には「遅延損害金が発生する」ということを覚えておこう。

滞納3日後~:支払いの催促が「自分の携帯電話」宛にくる

滞納して3日後には、自分の携帯電話宛に、消費者金融のオペレーターから「支払い催促」の入電がある。

電話に出たくない気持ちもわかるが、遅延損害金が増えていく一方なので、電話に出て「リスケジュールの相談」を行うのが望ましい。
大手の消費者金融の場合、返済が厳しいときには「返済計画の見直し」に応じてくれることが多いのだ。

困った場合には、なるべく早いタイミングで速やかに相談しよう。

滞納3~7日後~:支払いの催促が「自宅の固定電話」や「勤務先」宛にくる

滞納して3~7日後には「自宅の固定電話・勤務先」に、オペレーターから支払いを促す電話がくる。具体的には「いつまでに返済できるか」の期日と「その場合の金額」のやり取りだ。

通常、本人が電話に出ない限り、消費者金融の社名を名乗ることはそう多くないようだが、勘の良い人であれば、あなたが借金していることに気づく可能性がある。
つまり、この時点で借金の事実は周囲に知れ渡る可能性があるというわけだ。

支払い日の確認さえできれば、電話は速やかに終了することが多いので、「いつなら返せるか」明確にして、約束した期日までに支払いを済ませよう。

滞納1~2週間後~:支払いの催促が「ハガキ」でくる

滞納から1~2週間経過しても、メールや電話による催促に応じない場合は「ハガキ」で連絡がくる。
万が一、家族にハガキを開封されてしまうと「借金を滞納している事実」が知られることになるだろう。

先述の通り、すみやかに電話で「支払計画の変更」を申し出よう。

滞納2ヵ月後~:信用情報にキズがつき「5年間」は借り入れが不可能になる

2ヵ月以上経過しても、電話やはがき、メールの催促を無視した場合、いよいよ本格的に危険領域に踏み込んでいく。

それは「信用情報へのキズ」だ。
具体的にいえば、滞納した事実が、全国規模の信用情報機関のデータベースに記録され、5年間は一切、融資が受けられなくなるのだ。

日本にある3つの信用情報機関は、日本全国の金融機関との「ネットワーク」があり、多重債務や滞納などの事故が起こらないように、1人ひとりの債務者の「信用情報」を管理している。

顧客情報を管理しているのは、以下3つの機関だ。

  • JICC/株式会社日本信用情報機構
  • KSC/全国銀行個人信用情報センター
  • CIC/株式会社シー・アイ・シー

リストに「長期延滞」の記録があれば「この人には貸さない方がいい」という判断がはたらき、金融機関は未然に「貸し倒れ」を防げる。そのための個人情報を管理しているのが、信用情報機関というわけだ。

5年間も借り入れが不可能となれば、ビジネスの継続がむずかしくなるだろう。
だから、ブラックリスト入りは絶対に避けたい。

基本的には、こうなる前に、速やかに消費者金融側と、リスケ相談を実施しよう。

また、2ヵ月以上滞納したタイミングでは、「催告書」が届くのも注目すべきポイントだ。
催告書とは、特定の期限までに支払いを済ませるように催促する勧告書のことである。

今まで、分割返済の契約だったとしても「一括返済を迫る」のが大きな特徴である。
借金を滞納しているのに、一括返済するのはほぼ不可能だろう。

繰り返しになるが、こうなる前に、早めにリスケ相談をするべきだ。

滞納3ヵ月後~:「支払督促申立書」が届く

3ヵ月以上、催促の連絡に応じない場合、簡易裁判所から「支払督促申立書」が届く。

「支払督促申立書」とは、消費者金融側が「財産の差し押さえ」を申し立てるための法的手続きのことである。いよいよ最終局面というわけだ。

この支払い督促には「限度額」がないうえ、消費者金融からの借り入れに限らず、家賃や給料、保証金などさまざまな「借金」に適用されるものである。

この申立書が届いた場合、2週間以内に「異議申し立て」を行わないと、そのまま財産の差し押さえが事実上「可能」となる

滞納3ヵ月2週間後~:財産の差し押さえ

「支払督促申立書」が届いてもなお、無視した場合「仮執行宣言付支払督促」が届く。

これは、「消費者金融が裁判所に依頼したタイミングで『財産の差し押さえ』を強制的に執行しますよ」という宣言書なのだ。

差し押さえされる財産としては、銀行や郵便局の「預金」のほか、生命保険の解約返戻金や投資信託、株券、不動産、賃貸で支払っている敷金に至るまで多岐にわたる。

このタイミングで、ビジネスの継続は「事実上不可能」になるだろう。

いかがだろうか。
ここで「消費者金融からの催促を最後まで無視した場合」のデメリットを改めてまとめたい。主なデメリットは、以下の通り、全部で4つだ。

【消費者金融からの催促を無視する4つのデメリット】

「遅延損害金」により、高い利息を追加で支払う

最大年率20.0%もの利息が上乗せされる

支払いの催促は、自宅や勤務先にもくるため「社会的信用」を失う

家族や職場の仲間に「借金している事実」が知れ渡り、社会的信用がなくなる恐れがある

信用情報にキズがつくため、借り入れや融資を受けるのがほぼ不可能になる

滞納した借金を返済したとしても、5年間は、新規の借り入れができないため、ビジネスの継続や新規事業の立ち上げがむずかしくなる

「財産の差し押さえ」が行われる

自分が所有する財産がなくなり、先行きが不透明になる

どんなに返済が厳しくとも、消費者金融からの借金は「何がなんでも返す」のが原則であり、困ったら「支払計画の相談」をすることが重要である。ぜひ、覚えておこう!

返せない時はこの方法を試そう!

前章では「消費者金融からの借金が返せない場合に想定される最悪のシナリオ」について、くわしく説明した。

しかし、そうはいっても「どうしても返せない時はどうしたらいいの?」といった疑問を抱いている人も少なくないはずだ。

そこで本章では「消費者金融の借金が返済できないときの対処法」について説明したい。
結論からいえば、以下3点の対策が考えられる。

  • 消費者金融に「リスケジュール(返済計画の見直し)」の相談をする
  • 「助成金」や「給付金」を調べて申請する
  • 事業再建のための「つなぎ資金」を出資してくれるパートナーを探す

1つずつ、説明していこう。

消費者金融に「リスケジュール(返済計画の見直し)」の相談をする

支払いが厳しくなった場合に、まっさきに行ってほしいのが「リスケジュール(返済計画の見直し)」の相談である。

先述の通り、消費者金融側としても「貸し倒れ」は避けたいため、基本的には協議する方向で「可能な返済日」を再調整してくれる。

滞納する前に、速やかに相談しよう。

「借り換え」をする

「借り換え」も有力な選択肢の一つだ。
借り換えとは、今付き合いのある消費者金融から別の金融機関(銀行なども含む)に借金を移す手法である。

借り換えを行えば、借金の返済スケジュールを見直せるほか、損害遅延金も含めて借り換えをすれば、膨れ上がり続ける損害遅延金をいったんストップすることもできる。

金利を比較検討して、より良い条件であれば、総支払額を減らすことさえ可能だ

たとえば、300万円の借り入れを「40回の分割返済」で行う場合。
貸付利率(実質年率)が15.0%と8.5%の場合の比較は以下の通りになる。

「300万円の借金」を条件の異なる金融機関で返済した際の比較
(※返済回数が40回の場合)
消費者金融A(年率15.0%) 金融機関B(年率8.5%)
毎月の返済額 9万6000円 8万7000円
支払総額 382万6349円 345万1186円
差額 82万6349円 45万1186円
結論 Bの方が総返済額が37万5163円安い

参考:以下のシミュレーターを使いました。
https://www.aiful.co.jp/repay/simulation/#tab1

つまり、毎月の返済額は9,000円も安いうえ、Bの方が総返済額が「37万5163円も安い」という結果になった。これは、かなり大きな差であるといえるだろう。

というわけで、絶体絶命のピンチの場合には、借り換えも選択肢の一つに入れておこう。

事業再建のための「つなぎ資金」を出資してくれるパートナーを探す

「返済計画の見直し」や「借り換え」などの手段と同時並行で行ってほしいのが「つなぎ資金を出資してくれるビジネスパートナーを探すこと」だ。

あなたのビジネスが魅力的で、再起への情熱があれば「返済不要の出資」が受けられる場合がある。当社も、経営者さんの人柄とビジネスの魅力次第で、返済不要の出資を最大3000万円まで行っている。ビジネスが軌道に乗ったタイミングで、利益をバックしていただくかたちだ。

そうしたパートナーがいれば、高い確率で絶体絶命のピンチを回避できる。
消費者金融の返済に困った際には、つなぎ資金を出資してくれるビジネスパートナーを探そう。

以上3つが、消費者金融の借金を返せないときの対処法である。
ぜひとも、参考にしてほしい。

債務整理という手段にはリスクがある

どうしても借金が支払えなくなった場合「債務整理」を検討する経営者さんもいる。
債務整理とは、簡単にいえば、抱えている借金を減額したり帳消しにしたりすることだ。
具体的な手法としては、自己破産・個人再生・任意整理の3つがある。

借金が減るため、一見「とてもいい手段」のように思えるが、認識しておくべきリスクが3つある。以下の通りだ。

【債務整理には3つのリスクがある】

信用情報にキズが付く

自己破産・個人再生の場合には5~10年もの間、新規の借り入れができなくなる。 任意整理を行った場合は、5年間の借り入れがNGになる

クレジットやローンで購入した物を失う

クレジットやローンで購入した物は「所有権留保」されるのが一般的。購入した物の所有権が留保されれば、残債の返済に充てられてしまう

「官報公告」で個人情報がさらされる

自己破産/個人再生の場合、官報公告に名前・住所・事件番号が掲載される。 これを万が一、知り合いが見た場合、債務整理した事実が知られる

参考:債務整理に共通するデメリット・リスクとは?

いずれも「ケースバイケース」で、必ずしもこうなるとは限らないが、こうしたリスクを被ると「社会的信用」がなくなり、ビジネスの継続が不可能になるケースもある。

なにより、信用情報にキズが付くので、5年間も借り入れができない点が大きいのではないだろうか。

安易に債務整理を選択するのは危険であり、「最終手段」であると認識しておこう。

【次回のコラムの予告】

いかがでしたか。
シリーズ連載企画の第3回目は「消費者金融の借金が返せない悩み」に焦点を当てました。

記事内でお伝えしました通り、借金が返せないからといって「借金の滞納・催促の無視」は絶対にやってはいけないNG行為です。

まずは、消費者金融に「リスケジュール」の相談をし、返済計画を立て直しましょう。

さて、シリーズ企画の第4回目となる次回は「税金・社会保険料を払えない悩み」にフォーカスします。

コロナの影響で、人件費や家賃を支払うので精いっぱいになり「税金や社会保険料」を滞納してしまう方がいらっしゃいます。

しかし、税金や社会保険料の滞納は「財産の差し押さえ」につながるとても恐ろしいものですから「絶対的なNG行為」です。

次回の記事では「税金・社会保険料が支払えないときの対処法」について、くわしく解説します。

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