2024年06月28日
事業再生の相談先の選択肢の一つとして弁護士が挙げられます。事業再生には法的な手続きを行わなければならないケースもあり、法律の専門知識が求められる場面も少なくありません。
この記事では事業再生において弁護士が果たす役割や弁護士に相談するメリット・デメリット、事業再生の支援を依頼する際のポイントについてご紹介します。
事業再生における弁護士の役割とは
弁護士というと裁判や交渉の代理を行う人というイメージがあるかもしれません。事業再生において弁護士はどのようなことができるのでしょうか?まずは事業再生における弁護士の役割について考えてみましょう。
事業再生の方向性によって変わる
事業再生には大きく分けて法的再生と私的再生という2つの手法があり、その中にも民事再生や会社更生などさまざまな方法があります。事業再生の方向性によって弁護士が活躍する場面も大きく異なります。
特に法的再生の場合は裁判所が介在して事業再生を進めるため、弁護士の力が必要不可欠です。私的再生の場合でも、債権者や利害関係者と交渉をする際には法律の知識が必要となります。
事業再生の手法については以下の記事で詳しくご紹介していますので、併せてお読みください。
弁護士が担う事業再生の重要な役割
弁護士は法律の専門家であり、法律相談の対応や訴訟の代理、裁判書類の作成、交渉の代理などは弁護士にしかできません。前述のとおり事業再生には法律的な知識が求められる場面が多々あり、手法によっては裁判所に申立を行う場面もあります。
たとえば民事再生を選択した場合、民事再生法にもとづき裁判所の管理下で債務整理を行い事業を再建していくことになります。私的再生では債権者や利害関係者と債務を調整して再生を目指します。いずれにしても法律と交渉のプロである弁護士の力がなければ進んでいきません。
また、そもそも事業再生の方法はいくつもあり、一般の方ではどの手法を選んでよいかすら難しいのが実情です。弁護士であれば法律的な見地から適切と思われる事業再生の方法を提案してくれます。
事業再生を支援してくれる弁護士の選び方
たとえばネットで弁護士を探してみても、非常に多くの事務所がヒットしますので、誰に相談していいかわからないと思われるかもしれません。これまで弁護士に相談したことがない方、顧問弁護士をつけていないという方はなおさらでしょう。ここからは弁護士の選び方のポイントについてご紹介します。
事業再生の実績がある弁護士に相談する
弁護士にはそれぞれ得意不得意があり、誰でもいいというわけではありません。たとえば刑事事件を扱う弁護士、民事事件を扱う弁護士、さらにそのなかでも事業再生に特化している、債務整理に特化している、紛争解決に特化しているなど、実に幅広いです。
事業再生の支援を弁護士に依頼するのであれば、事業再生に特化していることを打ち出していて、なおかつ実績が豊富な弁護士を選びましょう。関連する法律知識あるいは過去の事例や判例から最適な方法を提案してくれて、手続きもスムーズに、かつ有利に事が運ぶよう行ってくれるはずです。
単に「弁護士」と検索するのではなく、「弁護士 事業再生」と検索することで、事業再生に強い弁護士が見つかる可能性が高くなるでしょう。
事業再生の専門家との連携の有無も確認する
事業再生には法律的な知識だけでなく、会計や財務、税務、労務など、さまざまな知見が必要となります。むしろ、会社を立て直していくためにはこれらの知識が非常に重要です。
会計士や税理士、社会保険労務士、中小企業診断士、あるいは経営コンサルタントや事業再生コンサルタントなど、他の専門家と連携してクライアントが抱えている課題に対応してくれる弁護士であれば、より的確な事業再生が可能となります。
弁護士に依頼する場合の費用の相場
弁護士を選ぶ際には費用にも着目しましょう。ただでさえ財務状況が厳しいなかで、費用が高すぎると事業再生にも支障をきたしかねません。
弁護士費用には大きく分けて支援を開始するときに支払う着手金と、事件が解決したときに支払う成功報酬金の2種類の費用がかかります。これらの額は負債総額に応じて変わってきます。下表に目安をまとめました。
負債総額 | 着手金(目安) | 成功報酬金(目安) |
---|---|---|
5,000万円未満 | 240万円 | 480万円 |
5,000万円〜1億円未満 | 360万円 | 720万円 |
1〜5億円未満 | 480万円 | 960万円 |
5〜10億円未満 | 600万円 | 1200万円 |
10〜50億円未満 | 720万円 | 1440万円 |
また、これ以外にも相談料(30分あたり5,000円~1万円程度)や裁判所などに出向いた際の日当、交通費、その他経費などもかかります。
弁護士に事業再生を依頼するメリットとは?
弁護士に事業再生を依頼することで、大きく「法律のプロの目線から方向性を判断してもらえる」「法的手続きをスムーズにできるようサポートしてくれる」という2つのメリットが得られます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
法律のプロの目線から方向性を判断してもらえる
弁護士の一番大きな強みはやはり法律の専門知識が豊富であることです。事業再生には会社法や倒産法、労働基準法など、さまざまな法律が関わり、これらに基づいて手続きをしたり債権者や利害関係者と交渉を進めたりしなければなりません。
また、事業再生の方向性を検討するにあたっては、どのような手法がとれるのか?どの方法が自社に合っているのか?を会社の状況などに応じて判断する必要があります。
弁護士に事業再生の支援を依頼することで、法律の専門家としての知識や知見、これまでの事例や判例に基づいて、最適と思われる方向性をアドバイスしてくれるはずです。
法的手続きをスムーズにできるようサポートしてくれる
先ほどもご説明したとおり、特に法的再生を行う場合は裁判所に申立を行い、会社更生手続きや民事再生手続き、破産手続き、特別清算手続きなどをしなければならないため、弁護士のサポートが必要不可欠です。
また、私的再生を行うにあたっては債権者や利害関係者と交渉して債務を調整する必要があります。交渉のプロである弁護士に依頼することで、有利に事が進む可能性が高いです。
最初から弁護士に依頼しておくことで、スムーズに手続きや交渉が進む可能性があります。
弁護士に事業再生を依頼するデメリットとは?
上記のようなメリットがある一方で、弁護士に事業再生支援を依頼するデメリットもあります。「法律以外の専門知識が浅い」「相談の敷居が高い」という点には留意しておきましょう。
法律以外の専門知識が浅い
弁護士は法律のプロであり、法的手続きや交渉を有利に進めてくれます。しかし、法律以外の分野に関しては一般の方とそれほど大きな違いはありません。ビジネスに関する専門知識やスキルはむしろコンサルタントなどビジネスの専門家のほうが高い傾向があります。
事業再生では法律の知識や知見も求められますが、むしろ重要なのは経営を立て直すためのビジネススキルやノウハウです。そういった意味でも、その弁護士に事業再生の実績があるかどうか、あるいは他の専門家とのネットワークがあるかどうかを確認しておくことが重要となります。
相談の敷居が高い
弁護士に支払う報酬は決して安いものではありません。先ほどもご紹介したように、何百万円、あるいは何千万円単位での報酬を支払う必要があります。また、それ以外にも相談料や日当、交通費、その他さまざまな経費を実費で負担しなければなりません。
会社の財務状況が苦しくなり事業再生を必要とする状況では、弁護士報酬も大きな負担となります。もちろん、親身に対応してくれる弁護士が大多数ではありますが、費用のことを考えるとなかなか気軽に相談できる先とは言いづらいです。
事業再生をするなら、事業再生のプロへ!
事業再生を行う際には弁護士に相談するのも手です。法的な視点から方向性を提案してくれて、手続きや交渉をスムーズに進めてくれるでしょう。しかし、事業再生で重要なのはその後です。
「いかに売上を上げるか?」「いかに支出を減らすか?」を考え、具体的な施策を実行していくためには、ビジネスの専門家の力を借りるのがおすすめです。
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まとめ
事業再生の支援を弁護士に依頼するという手段もあります。確かに法律的な手続きをスムーズに行ってくれ、交渉も有利に進めてくれるでしょう。しかし、餅は餅屋。その後の事業の立て直しに関しては事業再生のプロに任せるのがおすすめです。
事業再生はなかなかご自身だけでは難しい面があります。まずは実績が豊富で信頼できる専門家に相談してみましょう。
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本コラムの監修者

事業再生コンサルタント
清水 麻衣子
元銀行マンで、多くの顧客の相手をしてきた実績と数々の中小企業を見てきた知見をもって、東京事業再生コンサルティングのコンサルタントへ。
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