2020年10月06日
売上は立っているのになぜ赤字になるの!?
会社を経営するために重要なのはお金をつくること(営業)と、そのお金を管理すること(会計)です。多くの経営者の方は営業に強く、売上を立てることを得意とされています。稼げるからこそ独立して会社を作るという選択肢を取られたのだと思います。
問題はお金の管理。しっかり売上が立っているはずなのに赤字になってしまう、あるいは資金ショートや債務超過に陥ってしまう原因は、お金の管理が適切にできていないことにあります。
営業は得意でも、会計は苦手。稼ぐビジネススキルは卓越しているけど、お金を守るスキルはイマイチ。そんな経営者の方が非常に多いのです。
大丈夫!お金周りの問題解消でV字回復の可能性もあり!
赤字の悩みは経営者にとっては非常に深刻なものですが、実はその構造は非常にシンプル。入ってくるお金よりも出ていくお金が大きいから、経営が悪化するのです。売上が立てられているのに赤字で悩まれているなら、お金の管理さえ適切にできるようになれば、V字回復できる可能性があります。だって、稼ぐスキルがあるのですから。
多くの経営者の方に足りないのは「会計」のスキルやマインドです。これさえ身につければ、きっと会社が儲かる体質に生まれ変わり、赤字の悩みは解決できるでしょう。
会計士に頼んでいるから大丈夫?
赤字で悩まれている経営者の多くが「うちはお金のことは会計士に頼んでいるから大丈夫」「お金の問題は会計士が考えてくれるだろう」と思っています。
確かに会計士はお金について熟知している、経営者にとっては頼もしい存在です。企業の財務状況の信頼性を保証する「監査業務」、税務申告や節税などのサポートをする「税務業務」、会社の会計データから今後の経営に関するアドバイスを行う「経営コンサルティング」など、さまざまな面で経営を手助けしてくれます。
確かに会計士のアドバイスは有益です。しかし、実際に会社を経営しているわけではありません。経営方針は会計だけでは決めることは不可能。今の会社の状況、業界や顧客の動向など、さまざまな要素を考慮して決める必要があります。会計士のアドバイスはあくまで会計という一方向から見たものに過ぎません。最終的な経営判断は経営者自らが総合的に考えて行うべきです。
会計・経理・財務の違いを知ろう
会計、経理、財務。いずれも会社のお金の管理に関わる業務であることは間違いありません。ただ、これらにはそれぞれ違いがあります。
会計は会社のお金と物品の流れややり取りの全体像を把握して記録する仕事です。財務諸表の作成など決算に関わる業務がメインとなります。
経理は請求や支払いなど日常的なお金の流れを管理する業務で、会計と比較すると伝票処理や記帳など事務作業的な仕事も含まれます。
財務とは財務諸表などの会計資料やデータにもとづいて今後の経営計画や予算管理、資金調達を行う仕事です。会計や経理の後工程となります。
会計面で抑えておくべきポイント
赤字の悩みを脱出するためには、会計が肝です。キャッシュフロー(会社のお金の流れ)をしっかりと把握することで、問題点が見えてきて経営を改善することができます。特に以下の点に着目してみてください。
1固定費を見直す
まずは経費を徹底的に見直しましょう。特に赤字に陥っている企業は固定費が利益を圧迫している傾向があります。家賃が高いのであればもう少し安い物件へ移転することも視野に入れましょう。携帯電話やプロバイダー料金などの通信費も契約プランの見直しや業者の変更などでコストダウンを図れる可能性があります。
儲かる体質になるためには、毎月の支払いを抑えることが第一です。
2変動費を抑える
変動費とは仕入材料費、光熱費、運送費など、売上に伴って変動する経費のことです。たとえば、仕入材料費が高いと利益率が低くなり、会社の儲けも減ってしまいます。
材料を安いものに切り替える、あるいは発注先を安く卸してくれるところに変更することで、利益率をアップさせることが可能です。運送費も同様に、運賃が安い運送会社に委託することで抑えることができます。
3人件費を見直して効率化を図る
経費の中でも特に大きなウェイトを占めるのが人件費です。人員の配置を適切に行えば、支出を抑えるだけでなく、効率的な企業運営にもつながります。
例えば単純作業をパート、アルバイトあるいは外注に切り替えて、正社員を営業や技術など付加価値を生み出しやすいポジションに異動させることで、人件費の抑制と売上アップを目指すことができます。
4粗利率をアップさせる
売上があるのにも関わらず赤字となっている企業は、商品やサービスの粗利率に問題があるケースも少なくありません。前述のとおり、仕入原価など変動費を抑えることで、粗利率をアップさせることができます。原価を抑えているのにも関わらず粗利率が悪い商品は思い切ってラインナップから外すことも考える必要があるかもしれません。
顧客が必要としている、「売れる商品」を提供することも大切ですが、それと同じくらい「儲かる商品」を売ることも重要です。
5戦略を考える
経費や人件費、粗利率を見直したら、次は「会社の今後」を考えましょう。「どうやって資金調達を行うか?」「どうやって成長していくか?」といった戦略を考えます。これは先程ご説明した「財務」の領域になってきます。
資金繰りが厳しいのであれば、資金調達の方法について考えてください。今受けている融資の返済方法の見直しをする、追加融資を受けるといった手段で資金ショートを防ぎましょう。加えて、助成金や補助金制度の利用も検討してみてください。
また、黒字転換までの目標設定も重要です。「どうやって赤字を脱出するか?」「いつまでに黒字転換するか?」具体的な行動目標に落とし込んで実行しましょう。
戦略を立てるためには根拠となるデータが必要です。正しい判断を行うためにも、会計の仕事は非常に重要となります。
社長の給料も戦略的に!
厳しい言い方になりますが、経営を立て直すためにはまず経営者が痛みを受けなければいけません。「自分がほしい分だけ役員報酬をもらう」という社長さんも多いのですが、経営が傾いた状況ではそんなことは言っていられません。そもそも経営者と会社は別人格。役員報酬は売上から人件費も含めた経費を差し引いた利益から捻出するのが原則。会社が赤字で人件費のカットやリストラも行っているのに、社長だけは裕福な生活をしているのでは、従業員にも示しがつきません。
一方で、経営者個人に全く資産がないという状況も考えものです。それに、社長自身も生活をしていかなければいけません。会社が赤字になったときには、経営者が会社に個人的な資産を貸し出す「社長借入金」を使って資金繰りを行うこともできます。
会社が儲かっているときは個人の資産形成も考慮する。経営が厳しくなったときには役員報酬をカットし、蓄えた資産を会社のために使うことも考える。いざというときも考慮して、日頃から役員報酬の額を戦略的に設定することが重要です。
自分は経営者に向いてないと思う……からV字回復した経営者の実例
私たちの経験上、赤字に転落した企業の社長さんの多くは「自分は経営者に向いていない」とおっしゃいます。経営はお金を管理できてはじめて成り立ちます。冒頭でもお話したとおり、売上を立てるという「稼ぐスキル」があって独立・起業しても、「お金を管理するスキル」がないために失敗される経営者が非常に多く、赤字の悩み、会計の悩みは根深いものです。
私たちがお手伝いさせていただいたイタリアハイブランドを扱うセレクトショップの社長さんも、六本木にショップを構えるやり手でした。しかし、仕入れに失敗して資金繰りが悪化。資金ショート寸前となり、弊社にご相談いただいたのです。
海外の仕入先に価格交渉を行って仕入れ金額をディスカウントするとともに、極力在庫を持たない仕組みづくり、輸送方法の見直しなどの改善を徹底的に行いました。その結果、見事黒字に転換。もともと、稼ぐスキルが高い社長さんだったので、経費を圧縮したらすぐにV字回復を達成されたのです。今では他ブランドにも展開し、順調に事業を拡大されています。
会計面は苦手!でも赤字からV字回復をしたい!
会計が苦手であっても、営業が得意であれば悲観することはありません。もともと売上を立てられる基盤はあるので、資金調達を行ってキャッシュフローの改善さえできれば、利益を確保して赤字から脱出することは十分可能です。
赤字企業再生支援センターでは資金援助を行い、元銀行員のプロが財務・会計・経理業務を代行します。経営者の方は赤字の悩み、会計の悩みから開放され、本業(営業)に集中していただけ、V字回復を目指すことができます。
「売上は立っているはずなのに赤字で困っている」「これまで順調だったのに、急にキャッシュフローが悪化して資金ショートしそうになっている」という経営者の方は、ぜひ赤字企業再生支援センターにご相談ください。社長さんの長所を活かして、二人三脚で事業再生の道を歩みだしましょう。
«前へ「【20年6月最新】「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の審査通過率をUPさせる方法を徹底解説」 | 「事業再生の手順とは?種類と6つの流れ・進め方について解説」次へ»
本コラムの監修者
事業再生コンサルタント
清水 麻衣子
元銀行マンで、多くの顧客の相手をしてきた実績と数々の中小企業を見てきた知見をもって、東京事業再生コンサルティングのコンサルタントへ。
通常のコンサル会社におけるコンサルタントとは大きく違い、豊富な知識と現場のリアルを把握している、企業を想った本質的なコンサルが魅力。