借金だらけの会社を立て直すために重要なたった一つの考え方とは

2024年01月31日

会社が借金だらけで倒産しそう……そんな状況でもあきらめないでください。まだ手立てはあります。考え方を少し変えるだけでも、今までに思い浮かばなかったような打開策が見つかるかもしれません。

今回は借金だらけの会社を立て直すために必要な考え方や立て直しの際に経営者が押さえておくべきポイントについて、事業再生コンサルタントがご紹介します。

『”たった一つの考え方”は存在しない』という考え方

結論からお伝えすると、借金だらけの会社を立て直すために重要なたった一つの考え方とは、『借金だらけの会社を立て直すために重要なたった一つの考え方など存在しない』ということです。

経営者としては問題を確実に解決できる考え方や方法がわかれば、これほど嬉しいことはありません。すぐに解決できる手段を求めるのは致し方のないことです。

しかし、借金だらけの会社を確実に立て直す唯一の考え方や方法はありません。それがあれば倒産する会社は存在しないはずです。

会社の状況はそれぞれ異なります。現状を正確に把握してそれに合った予防策・対応策、徹底したコスト削減、営業戦略の確立など、さまざまな事柄を多角的に考える必要があります。

借金だらけの会社を立て直すための前提

借金だらけの会社を立て直すためにはまずは「会社が今どうなっているのか?」という現状と、「なぜこうなってしまったのか?」という原因を知ることです。特に借金でお困りの経営者の方は現状と原因が把握できていない傾向があります。しかし、それらがわかっていないと解決策を見つけることはなかなか難しいです。
まずは事業の現状を把握する、借金だらけになってしまった原因を解明する際に必要な考え方をお伝えします。

 

事業の現状把握をする

借金が増えている原因は実にシンプルで、支出が多すぎるか利益が少ないかのどちらかです。しかし、会社の状況も、経営者の頭を悩ます課題もさまざまです。まずはご自身の会社の現実を直視して、現状をしっかりと把握しましょう。たとえば以下のような状況が会社にありませんか?

  • 特定の部門のみ採算がとれていない
  • 特定の事業のみ採算がとれていない
  • すべての部門や本業で不採算になっている
  • 仕入れのコストが膨らんでいる
  • その他の経費・コストが多い
  • 不要な人件費が多い
  • 取引先からの入金が遅れている

以上の状況のいずれか、あるいは複数が発生している結果、借金が増えている可能性があります。

 

原因を解明する

会社の状況がわかったら、次は立て直しが必要になった原因を深堀りしてみましょう。たとえば特定の部門が赤字になっているのであれば、その部門のみを廃止するか譲渡すれば改善できる可能性があります。仕入れのコストが膨らんでいるのであれば、仕入れ量を少なくする、価格が安い代替品を探す、安い仕入先を探して切り替える、価格交渉をするといった方法で状況が良くなるかもしれません。
このように、借金苦となった原因を正確に突き止めることで、ようやく解決策が見えてくるのです

借金に悩まされている経営者が押さえたい2つのポイント

以上のように会社の現状と借金が膨れ上がった原因がわかったら、次は実際にそれらを改善する方法を考えていきます。しかし、ここでも注意が必要です。会社に合わない策を選択してしまうとまったく状況が改善しないばかりが、かえって悪化することにもなってしまいます。また、「この方法しかない!」と決めつけると、他にいい方法があったとしても、それに気づけなくなってしまいます。

ここからは借金に悩まれている経営者の方が押さえておくべきポイントについてご紹介します。

 

Point1)借金は悪いことではない

そもそも借金は悪という考え方は捨てましょう。確かに多重債務に陥ったり金利が高いカードローンや消費者金融で多額の借金をしたりすれば、自己破産につながるリスクが高くなります。しかし、金融機関から融資を受けて事業を立て直せば借金を返して安定的に利益が得られるようになる可能性もあります。資金調達法の一つとして追加融資も選択肢に入れておきましょう

 

Point2)セーフティーネットはある

赤字が続いている、すでに返済が厳しい状況に陥っているとなると、金融機関から融資を受けるのも難しくなります。しかし、国や自治体ではさまざまなセーフティネットを用意してくれています。こうした方法を使って事業を立て直すことも十分可能です。

▼豊富な融資制度

たとえば中小企業の経営安定化や経済活性化を目的に地方自治体と金融機関、信用保証協会が連携して融資を行う「制度融資」、社会的・経済的環境の変化で経営が困窮した企業を対象として日本政策金融公庫が融資する「セーフティネット貸付」、同様に日本政策金融公庫が行なっている、企業再建を前提とした「企業再生資金」など、銀行融資を受けることが難しい状況でも活用できる融資制度はさまざまあります

詳しくはこちらの記事でご説明していますので、資金調達にお困りの方はぜひお読みください。

▼融資以外の選択

たとえばベンチャーキャピタルから出資を受ける、クラウドファンディングで一般人から少額出資を広く募る、ファクタリングを利用して売掛債権を売却する、赤字事業を売却する、補助金や助成金を活用するなど、融資以外にも資金を調達する方法はいくつもあります。

これらの手段は借金をこれ以上増やしたくないという経営者様にはおすすめです

▼事業再生支援

事業再生支援を受けるというのも手です。たとえば日本政策金融公庫では「事業再生支援」として地域の金融機関や公的な再生支援機関などと連携しながら事業再生に向けたアドバイスを受けることが可能です。各地域の商工会議所でも事業再生支援制度を設けています。

また、民間の経営コンサルタントに相談するというのも手です。事業再生に特化したコンサルタントであれば親身に悩みに寄り添ってくれて、事業の立て直しに向けて的確なアドバイスをしてくれるはずです

借金だらけの会社を立て直す上で、最優先のアプローチ

以上のように、借金が膨れ上がる要因は支出が多すぎるか利益が少なすぎるかのいずれかに分けられます。どのような状況においても収支を見直すことは非常に重要です。むしろ、支出を減らす・収入を上げる対策を行わないと根本的な原因が改善されないため、なかなか経営が上向くことはありません。

資金調達や事業再生支援を検討するのと同時に、ぜひ以下のような事柄について考えてみてください。

▼必要コストの見直し

まずはコストを徹底的に見直しましょう。会社を経営するためには人件費や仕入れ費、外注費、賃料、光熱費、消耗品代など、さまざまなコストがかかります。その中には無駄なもの、必要以上に支払い続けているものもあるかもしれません

仕入れにコストがかかっているのであれば、前述のとおり仕入れ量を変更する、代替品に置き換える、仕入先を変更するといった方法でコストダウンが可能です。人件費に関しても、人手が余っている部門から足りていない部門、あるいは売上に直結する部門に人を異動させることで適正化できます。

▼売上の向上

事業を立て直すうえでは収入、つまり売上の向上も非常に重要な課題です。特に極限までコストを削っても状況が改善されなければ、あとは売上を上げるしかありません

営業戦略を変えたり広告宣伝を強化したりして集客を増やす、販売方法を改善する、販路を拡げる、既存の商品やサービスの品質を向上させたり付加価値をつけたりする、新商品や新サービスを開発する、スタッフの対応を改善するなど、売上改善に関してもできることはさまざまあります。

どうしても立ち行かなくなったら

事業にかかっているコストを削減し、売上を向上させれば、業績は自ずと上がっていき黒字体質に改善することができます。借金だらけの会社を立て直すために重要なたった一つの考え方など存在しない。会社の状況に合わせた考え方や手法を選択することが事業を立て直す第一歩です。

どうしても会社が立ち行かなくなったと感じたら、借金を返せる目処がつかないと感じたら、東京事業再生コンサルティングセンターにご相談ください。弊社はこれまで50社以上の中小企業の事業立て直しに携わってきました資金面での支援も可能です。リソースを事業再生に集約していただくべく、1年間は無料でコンサルティングさせていただきます。本気で事業の立て直しを目指してみませんか?

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本コラムの監修者

事業再生コンサルタント
清水 麻衣子

元銀行マンで、多くの顧客の相手をしてきた実績と数々の中小企業を見てきた知見をもって、東京事業再生コンサルティングのコンサルタントへ。

通常のコンサル会社におけるコンサルタントとは大きく違い、豊富な知識と現場のリアルを把握している、企業を想った本質的なコンサルが魅力。