経営・資金繰りが苦しい、今できる対処法とは?

2024年01月04日

資金繰りが苦しい際にはやるべきこと、やってはいけないことがあります。この記事では経営状況が厳しいときに経営者がすぐにでもとるべき対処策とNG行動について解説。特に重要となる融資制度についてもご紹介します。

経営・資金繰りが苦しい際、まずはじめに行うこと

まずは何よりも先に現状把握をしましょう。これがなくてははじまりません。資金繰りの改善には売掛金の回収を早くして、支払いを遅くするのが鉄則。そのためにも以下のようなことを意識してしっかりと会社の状況を確認してください。

資産状況の確認・見直し

保有している不動産や設備、機械といった資産の売却は、経営状況に関わらずすぐにできる資金調達法です。採算性が低い資産は売却することで当面の運転資金が確保でき、さらに資産にかかる固定資産税や管理費などのランニングコストを削減することができます

また、在庫は過剰に抱えていると維持費がどうしても高くなってしまいます。そのままにしておいても品質が低下したり破損したりトレンドに合わなくなって売れなくなってしまったりするおそれもあるため、早めに処分を検討しましょう。

返済・支払い時期を延期・猶予してもらう

融資の返済や仕入費、外注費などの経費の支払いなどは期日を遅らせる、あるいは毎月の支払額を減らすことで支出を抑えられます。金融機関や債権者(仕入先や外注先を含む)と交渉して支払を一定期間猶予してもらう、時期を延長してもらう、減額してもらうなどの交渉を試みましょう

ただし、金融機関や債権者も自社の経営がかかっているため、なかなか快く応じてくれるケースばかりではありません。経営改善計画書を作成し、返済や支払いの目処をしっかりと説明できるようにしておきましょう

ファクタリングの検討

ファクタリングとは売掛債権を売却して代金を得る資金調達方法です。将来入金される予定の売掛金を前倒して得ることができます。売掛債権を即日~数日で現金化できるため、入金日までに支払いがある、急な出費が発生したなどのケースでも対応しやすい資金調達方法といえます。

ただし、手数料が高額になる場合もあるのでファクタリング会社を選ぶ際にはしっかりと確認しておきましょう

経営・資金繰りが苦しい際でもやってはならないNG行動

ここからは多くの経営者の方がやってしまいがちなNG行動を見ていきましょう。経営が苦しいからといって以下のような行動に安易に走ってしまうと、余計に状況が悪化するおそれがありますので要注意です。

街金融や商工ローンからの借入

街金や商工ローンは銀行と比べると審査もゆるく、すぐにお金を貸してくれます。しかし、金融機関と比較して金利が高く、返済が滞った際には借入残高が短期間で膨れ上がってしまうリスクが非常に高いです

特に闇金と呼ばれるような業者を利用した場合、法外な金利が設定されていて取り立ても非常に厳しいですので、絶対に利用しないようにしましょう

税金や社会保険料の滞納

会社の資金繰りが苦しい場合、ご自身やご家族の税金や社会保険料の支払いも難しい状況かと思います。しかし、支払いを滞納すると延滞税が発生し、督促状を放置しているとご自身や会社の財産を差し押さえられてしまう可能性もあります。税金や社会保険料の滞納は社会的信用の低下にもつながりかねません。

税務署や市区町村役場、社会保険事務所などで手続きを行えば一定期間支払いの免除や猶予措置を受けられるので、どうしても支払いが難しい場合は窓口に相談してみましょう。

従業員や取引先への支払い滞納

従業員への給料の支払いが遅れるという話もよく聞きますが、これも絶対にやめましょう。従業員に対して給料を支払わなかった場合、労働基準法違反に該当し罰金が課せられるおそれがある上、何よりも戦力となる従業員の退職につながります

取引先への支払いが滞った場合、取引が打ち切られてしまうリスクが高くなります。どうしても支払いが厳しい場合は支払い期間の延期や分割支払などに対応してもらえるよう相談、交渉をし、取引を継続できるよう信頼関係を維持していくことが大切です。

経営・資金繰りが苦しい際に受けられる融資制度

債務超過や資金難に陥っている状況では金融機関からの融資がどうしても受けにくくなります。しかし、前述のように街金や商工ローン、闇金などを利用すると余計状況が悪化する可能性が高いです。そこで、資金繰りが苦しい際にも利用できてかつ安全度が高い融資制度をご紹介します。

制度融資

制度融資とは中小企業の経営の安定化や活性化を目的として地方自治体と金融機関、信用保証協会が連携して運営している融資制度です。融資の条件などは自治体によって異なりますが、一般的な融資と比較して審査のハードルが比較的低く、低金利で長期間の借り入れも可能です

自治体の窓口に相談し、その後指定の金融機関に申し込みを行います。自治体と金融機関の同意が得られ、信用保証協会からの保証が下りれば借り入れが可能となります。好条件で融資を受けられる可能性は高いですが、煩雑な手続きが必要であることと、融資の実行までに時間がかかるのがデメリットといえます

セーフティネット貸付

セーフティネット貸付とは日本政策金融公庫が実施している融資制度で、別名「経営環境変化対応資金」とも呼ばれます。その名の通り社会的・経済的環境の変化などによって経営が困窮した際の臨時的な資金調達を前提とした制度です

資金繰りが悪化した要因や返済期間、金融情勢などによって条件や利率は異なりますが、やはり一般的な融資と比較すると利用がしやすくなっています。また、3年以内の据置期間があり、返済期間が長いのもメリットです。一方で条件を満たしていないと利用できない、保証料が必要となる、審査期間が長いなどのデメリットもあります

企業再建資金

企業再建資金とはセーフティネット貸付と同様日本政策金融公庫が用意している融資制度で、企業再建の際の資金調達を前提としています。中小企業の再生支援に関わる公的機関や認定支援機関などからの支援を受けている企業が対象です。

2年間の据置期間があり、設備資金の場合は返済期間が20年以内、運転資金の場合は15年以内の借り入れが可能となっています。ただし、上記のように公的機関や支援機関からの支援を受けているなど利用条件が設けられている点がデメリットといえます

経営・資金繰りが苦しくなる原因

会社の経営が厳しくなる、資金繰りが苦しくなるのには必ず原因があります。それを特定しないことには、いくら事業を立て直そうとしたとしても、また悪化してしまうでしょう。ここからは資金繰りが悪化する原因について見ていきましょう。

①資金繰りを把握していない

資金繰り悪化の典型的な要因として、会社の資金管理が十分にできていないことが挙げられます。毎月どれくらいのお金が入ってくるのか?そしてどこにどれくらいの資金が使われているのか?を把握しないと、たとえどれだけ売上が立っていたとしても、資金はすぐになくなってしまいます。

実際に黒字企業でも大きな支出や仕入れで支払いができなくなり倒産してしまうという事例も少なくありません。

②経営計画に問題がある

売上が減少していて利益が出ていない場合、経営計画に問題がある可能性も高いです。売上が減っている要因は商品やサービスが市場のニーズに合っていない、営業や広報戦略が間違っている、商品やサービスの質が低下しているなど、さまざま考えられます。

再度競合調査や顧客ニーズ、自社サービスの立ち位置を分析し、計画を練り直す必要があるかもしれません

③経費の急増や過剰な在庫など無駄な支出が多い

経費のムダも経営が悪化する大きな要因となりえます。特に前述の資金管理が適正にできていないと、どんぶり勘定になりがちです。賃料や接待交際費など、経費が適正であるかを見直しましょう。また、これも繰り返しになりますが在庫も大きなリスクです。商品の売れ行き傾向を掴んで予測をし、必要な分だけ在庫を置くようにしましょう

経営・資金繰りを改善するための方法

資金繰りが悪化するのには以上のような原因がありますが、状況を改善するためにはどうすればいいのでしょうか?資金繰りを改善し、経営を安定させるためのポイントについてご紹介します。

適切な資金繰り表の作成

まずは会社のお金の流れをしっかり把握するために資金繰り表を作成しましょう。資金繰り表を作成していない、あるいは適切に作成できていないと、その場しのぎの対応となってしまい、継続的な経営の安定にはなかなかつながりません。

今後発生する入金・出金の予定を把握することで、会社にお金を残しつつ将来発生する支出に備えられるようになります

返済・支払い時期の交渉

資金不足で融資の返済が苦しい場合は、返済期間の延長や返済額を軽減してもらえるよう借入先の金融機関にリスケジュールを交渉してみましょう。

リスケジュールが受け入れられれば借入金の返済に一時的な余裕ができるため、その間に資金繰りの改善や経営の安定化を図ることができるようになります

不採算部門の縮小

赤字が続いている部門や改善策を実行しても成果につながらない部門は縮小や撤退も検討してみましょう。その部門に使っていたリソースを事業収益が見込める部門、黒字が出ている部門に集中させることで、会社全体の業績回復につながります

不採算部門の撤退基準や再生についてはこちらの記事でさらに詳しくご紹介しています。

事業を売却

不採算部門や自社では運営が継続できない事業は切り離して売却するという方法もあります。M&A、株式譲渡、事業譲渡など手法はさまざまです。事業を切り離すことで経営が効率化できる、売却益を得てそれを運転資金に充てられる、ノウハウや資産がある他の経営者に事業の継続を託せるなどのメリットが得られます

M&A・事業再生に関して詳しく知りたい方はこちらの記事もぜひご覧ください。

経営・資金繰りが苦しい際の相談先

経営や資金繰りが苦しい場合、専門家に相談することで解決の糸口が見つかる可能性もあります。相談先としては主に以下のような専門家が挙げられます。

税理士

税理士は税金やお金のプロです。さまざまな企業の税務を担当しているのである程度経営に関する知見もあり、顧問契約をしていれば会社の内情に合ったアドバイスも期待できます。しかし、すべての税理士が経営再建や資金繰り改善のノウハウを持っているわけではありません。経営コンサルティングの経験や実績があるかどうかを確認しましょう

銀行や金融機関

銀行や金融機関に相談すれば融資を受けられて運転資金を調達することができます。また、すでに融資を受けている銀行へはリスケを交渉することで、返済期間の延長や返済額の減額といった措置を受けられる可能性もあります。ただし、銀行はお金を貸してくれますが資金繰りの改善や売上アップなどに関するアドバイスなどはあまり期待できません。

経営コンサルティング

餅は餅屋ではありませんが、やはり経営のことは経営コンサルタントに相談するのがおすすめです。企業の経営状態を診断し、資金繰りから経営の改善・安定化までをサポートしてくれます

ただし、経営コンサルタントはスキルや知識が千差万別です。特に事業再生はノウハウがないとなかなか難しい分野といえます。中小企業向けのコンサルティング実績があるかどうか、経営再建や融資サポートなどが可能かどうかを確認してから相談・依頼しましょう

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弊社自身は創業から30年以上黒字経営を続けており、一度も赤字になったことはありません。銀行融資に頼ったのも創業時のみなので、何十年も自己資金で経営を継続している本物の超黒字企業です。その経営ノウハウをすべて貴社の立て直しに注ぎ込みます。

まずは経営のお悩みをお気軽にお聞かせください。

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本コラムの監修者

事業再生コンサルタント
清水 麻衣子

元銀行マンで、多くの顧客の相手をしてきた実績と数々の中小企業を見てきた知見をもって、東京事業再生コンサルティングのコンサルタントへ。

通常のコンサル会社におけるコンサルタントとは大きく違い、豊富な知識と現場のリアルを把握している、企業を想った本質的なコンサルが魅力。

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