不採算部門の立て直し方法とは?撤退基準や事業再生への移行など網羅解説!

2023年11月09日

不採算部門の立て直し方法とは?撤退基準や事業再生への移行など網羅解説!

会社に不採算部門がある場合、そのまま放置しておくとどんどん赤字を垂れ流すことになるため、早めの立て直しが必要となるのは言うまでもありません。しかし、そもそも立て直す前に、「その部門を本当に立て直すべきなのか?」を考えることも重要です。撤退という選択肢をとったほうがいい場合もあります。この記事では不採算部門の立て直しと撤退を判断する基準や、それぞれの方法について解説します。

また、事業が1つしかない場合、撤退するということは会社の破産・倒産を意味します。その場合の対処法についても考えてみましょう。

不採算部門を立て直す?撤退する?基準を解説

不採算部門を立て直すか撤退するかを判断する基準の1つ目は「今後の収益が見込めるかどうか?」です。たとえば事業を立ち上げたばかりであれば、今後顧客の増加や業務効率化などによって収益が得られる可能性があります。売上はある程度立っているものの利益が少ない場合、経費を削減するなどテコ入れをすれば立て直せるかもしれません。一方で、立ち上げてからある程度期間が経過し競合にシェアを奪われている場合、収益率が低く業務効率化やコスト削減などのテコ入れをしても業績が回復する見込みが立たない場合、そもそも業界全体が落ち目である場合、撤退を検討せざるを得ないかもしれません

2つ目は「他の事業に影響が出ないかどうか?」です。部門単体では赤字でも、その部門があることで他の事業にプラスの影響が生じている可能性があります。たとえば不採算部門があっても、その部門が存在することで材料や商品の仕入れが安く抑えられている、物流がスムーズになっているというようにメリットがある場合は、立て直しを検討したほうが得策といえます

3つ目は「その事業が会社のミッションにつながっているかどうか?」です。「儲かりそうだから」と安易に新規事業に参入しても、結局その会社のミッション(使命・存在意義)に合わず撤退してしまうということはよくあります。いくら儲かりそうな事業でも、ミッションに合わなければ経営者や従業員の気持ちが入りません。ミッションに合っているかどうか?言い換えれば本気を出してその事業に取り組めるかどうか?を軸に考えてみましょう

撤退はどのようにしたらよい?

不採算部門から撤退する方法はいくつかあります。たとえば新しく会社を設立して採算がとれる部門のみをそこに移し、これまでの会社には不採算事業のみを残した状態で清算する第二会社方式という手法を使えば、採算部門を残すことが可能です

テコ入れすれば収益は見込めるものの自社にそのリソースがない場合はM&Aも有効です。事業をスポンサー企業に譲渡する事業譲渡や、スポンサー部門が新設する会社に事業を移す会社分割方式といった方法で第三者に不採算部門を譲れば自社が撤退することができます

ただ、中小企業では事業が1つしかないケースも多いです。唯一の事業で採算が取れず撤退する場合、会社を破産・倒産させるほかありません。立て直しを行う場合、民事再生や会社更生、特定調停などの事業再生スキームを活用するか、M&Aでスポンサーの力を借りる必要があります

事業再生やM&Aの方法については「事業再生の手法を網羅解説!企業再生との違いも把握【図解入り完全版】」で詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。

不採算部門立て直しの方法

経営者や従業員が本気になって取り組める事業であり、かつテコ入れして収益の回復が見込めるのであれば、不採算部門でも立て直しができる可能性も十分にあります。ここからは、今回の主題となっている不採算事業の立て直しの方法について見ていきましょう。

現状を正しく把握する」「コストを見直す」「業績拡大のための施策の実施」という流れで立て直しを図っていくことになります。

現状を正しく把握する

まずは不採算部門がどのような状況になっているのか?をしっかりと把握しておきましょう。この工程をなくして立て直しははじまりません。収支の状況、今後の伸びしろ(売上の見込みや市場の状況、競合との優位性)、現場の生産性など、さまざまな角度から分析を行います。少なくとも過去10年くらいのデータを見て検証しましょう。

また、数値からはわからない部分もしっかりと把握しておくことが大切です。現場を見て従業員にヒアリングを行い、モチベーションが下がっていないか?ボトルネックが発生していないか?従業員が安心して働ける環境が整っているか?もしっかりと確認しましょう。

コストの見直し

業績を改善する方法、つまり利益を伸ばす方法自体は実にシンプルです。「経費を抑えて売上を拡大する」しかありません。無駄なコストが発生して利益が圧迫されているケースも往々にしてあります

事業を行うためには人件費、仕入費、外注費、賃料、光熱費、交通旅費、接待交際費など、さまざまな経費がかかります。たとえば採用を抑えたり業務を効率化したりすることで人件費の無駄を抑制する、仕入先を変えたりコストが安い材料に置き換えたりして仕入費を削減する、無駄な出張を減らして交通旅費や接待交際費がかからないようにするなど、コストは徹底的に見直しましょう。

とはいえ、必要な人件費や経費を削るのは考えものです。収益拡大や生産性の向上のためには積極投資も必要となります。

業績拡大の実施

コスト削減と同時に「業績を拡大する」ための施策も行います。売上が十分でない場合は集客力や営業優位性、営業スキームの底上げを実施し、とにかくお客様を獲得しましょう。たとえばホームページを作成する、ネット広告を配信するなどインターネットを活用した集客を行うことで、商品やサービスの認知度が大幅にアップし、商圏も拡大して、売上が大幅に伸びる可能性があります。

商品やサービスの利益率が悪い場合は、前述のコストカットに加えて現場の生産性向上に取り組む必要があります。工程や人員配置の見直し、不良品やミスの防止など、できることはさまざまです。

不採算部門がメイン事業の場合はどう立て直す?

前述のとおり中小企業では事業が1つしかなく、その採算がとれていないというケースも往々にしてあります。過去には実際に唯一の事業が赤字になっていて悩まれている経営者様からのご相談もいただきました。

この場合は事業再生のスキームを使って立て直しを図っていくことになります。大枠はこれまでの話と共通していますが、事業再生で重要なのはデューデリジェンスを実施して「そもそも再生が可能であるかどうか?」を見極めることです。客観的に企業の価値やリスクを評価して再生ができる可能性があるのであれば、自社の状況に合わせたスキームを選択して実行していきます。

事業再生で重要なのは「V字回復」を狙うことです。ただ目先のキャッシュフローを改善させるだけでは、またすぐに現状と同じような状況に陥ってしまいます。コストカットや企業の体質改善といった「守りの施策」はもちろん、商品やサービスの品質改善、生産性の向上、集客力や営業力を高めるといった「攻めの施策」を実行して、はじめて優良黒字企業へとV字回復が果たせ、事業再生が実現できるのです。

具体的な事業再生の流れは、「事業再生の手順とは?種類と6つの流れ・進め方について解説」で詳しく解説しています。

何より一番大事なことは社員と一致団結して取り組むこと!

不採算事業から撤退するのか?立て直しを図っていくのか?という判断が非常に重要なのはこれまで解説したとおりです。立て直していくと決意した際に忘れてはいけないのは、「事業は人である」ということ。経営層だけで意思決定をし、現場の理解を得ないまま「これをやれ!」と指示・命令するだけでは、社員からの反発や離職につながってしまいます。

重要なのは経営層の意思決定に社員を巻き込むことです。そのためには現場の状況を正しく把握して的確に改善に取り組み、現場と経営層をつなぐキーマンを用意する必要があります。これができていない経営者の方が非常に多いのです。しかし、これをなくして立て直しは到底ありえません。

社員の方とのコミュニケーションに悩まれている方、どう働きかけていいかわからないという方は、「会社立て直しの秘訣は社員とのコミュニケーションにある!」もぜひお読みください。きっと、何らかのヒントが得られるはずです。

まとめ

事業再生は経営者だけではとても成し遂げられません。実際に現場で動いてくれる社員の理解と協力が必要不可欠です。そのためには「経営層と現場の橋渡し役」が欠かせません。社長ご自身や幹部がその役割を果たすのが一番ですが、それができない場合は外部の人材を活用してでも、橋渡し役を立てましょう。

東京事業再生コンサルティングセンターでは経営者様だけでなく、しっかりと現場に入り込んで社員との対話をしながら、優良黒字企業にV字回復させるための施策を実行します。立て直しや再生に集中していただくため、初年度のコンサルティング料金は無料です。

不採算部門の立て直しや事業再生を考えられている経営者様、立て直しすべきか撤退すべきか迷われている経営者様はぜひご相談ください。

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本コラムの監修者

事業再生コンサルタント
清水 麻衣子

元銀行マンで、多くの顧客の相手をしてきた実績と数々の中小企業を見てきた知見をもって、東京事業再生コンサルティングのコンサルタントへ。

通常のコンサル会社におけるコンサルタントとは大きく違い、豊富な知識と現場のリアルを把握している、企業を想った本質的なコンサルが魅力。

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