元銀行員が語る~資金ショート寸前で融資はできる?銀行融資の真実を告白

2019年10月01日

会社の資金繰りがショートしそう……そんな状況で多くの経営者が頼るのが銀行。融資でお金を借入れるという方法で倒産の危機を回避しようとするわけですが、命運を握るのは銀行が融資をしてくれるかしてくれないかです。

「主要取引銀行だから融資してくれるだろう」「預金をたくさんしているからお金を貸してくれるだろう」「追加融資だからなんとかなるだろう」……そう思っていたら危険かも

今回は元銀行員で赤字企業再生支援センター経営資金支援部の田口にインタビューを行い、銀行融資の真実を赤裸々に語ってもらいました。資金ショートする会社の傾向や、事業再生に協力したくなる会社の特徴、交渉のポイントなど、インタビューでしか聞けない情報も盛りだくさん。資金がショート寸前の企業の経営者の方、これから融資を申し込もうとされている方必見です。

  • 本日はよろしくお願いいたします。

  • 聞き手

  • 田口

  • よろしくお願いいたします。

  • さっそくですが、銀行ってそもそもどういう目的で融資を行うのでしょうか?

  • 聞き手

  • 田口

  • 前提として知っておいていただきたいのは、銀行は皆さまの会社と同じ、営利企業だということ。「預金」、つまり金融機関側にとっては実質皆さまからの借金となるわけですが、これを原資にして融資という名の「投資」を行い、利益を得ている会社なのです。

  • 具体的に何が金融機関の利益となるのですか?

  • 聞き手

  • 田口

  • 金利です。今の預金金利の利率は0.001%ほど。それに対して中小企業貸金金利の利率は1.11%ほど。金融機関が支払うべき預金金利をなるべく少なくし、回収できる利息なるべく高くする。そうすることで、銀行の利益が増えるのです。

  • なるほど。銀行に対するイメージがちょっと変わりました。

  • 聞き手

  • 田口

  • やはり営利団体ですから、稼がないと、あるいは損をし続けると銀行も潰れてしまいます。だから、お客さまの資金がショートしたとしても、限られた企業しか救うつもりはないし、救えないのですね。この事実は知っておくべきです。

資金ショートする会社の傾向

融資を通じて多くの企業を見る機会がある銀行員。資金繰りがうまくいかずに、資金ショートに陥ってしまう会社には共通した傾向があるようです。

  • どういう会社が資金ショートに陥るんですか?

  • 聞き手

  • 田口

  • まずは資金収支予測、つまり売上金回収と現金化の把握ができていない会社ですね。これは基本中の基本です。思ったように売上が回収できていなかったり、会社に思ったほど現金が残っていなかったりといった状況で、固定費や給料、外注費などの支払いがかさんだタイミングで資金ショートが起こりやすくなります
    また、過剰な設備投資などで経費を使いすぎているパターンも多いです。もちろん、経営者の認識が甘かったというケースもありますが、他の取締役や経理担当者など、社内の意思疎通ができていないという会社さんも多いですね。

  • 資金ショートを引き起こす経営者の特徴はありますか?

  • 聞き手

  • 田口

  • 傲慢、派手な私生活を送っている、法人と個人の費用を混同しているといった経営者は要注意です。会社のお金で高級車を買ったり、接待費という名目で女遊びをしていたり。そういう経営者の会社はいつか破綻します。

  • 2代目社長が会社を潰すということもよくあると聞きますが、本当ですか?

  • 聞き手

  • 田口

  • もちろん、一生懸命経営をされていて結果を出されている2代目社長がほとんどです。ただし、経営手腕が伴わずに社長になってしまった、あるいは昔から贅沢をしながら育ってきた2代目社長が会社の資産を食い潰して倒産させてしまうというケースも少なからずあります。

銀行員の本音と融資するかは別の話

銀行員も人。融資したいと個人的に思っても融資できないという苦い想いをすることも多いそうです。

  • 個人的に「この人だったら融資したいな」と思ったことはありますか?

  • 聞き手

  • 田口

  • はい。担当者の立場でお客さまとお話をして「融資してあげたいなぁ」と思ったことは多々あります。

  • ただ、それだけでは融資ができないと。

  • 聞き手

  • 田口

  • そうですね。銀行融資では多くの基準にもとづいた審査が行われますし、各部署のフィルターもあります。そこには担当者の私情は反映されません

  • どんなフィルターがあるのですか?

  • 聞き手

  • 田口

  • 担当者、担当者直属の上司、融資係、融資係の責任者、次長、支店長、本部融資部。これらの人たちがすべてハンコを押さないと、融資できないのです。

  • 多くの人が融資に関わっているんですね。

  • 聞き手

  • 田口

  • はい。銀行融資では私情を入れるのはタブーとされています。いくら担当者が「この人に融資したい」と思っても、上の人や融資係が首を縦に振らなければ融資できないのです。

事業再生に協力したくなる会社の特徴

私情を挟むのはタブーとされている銀行融資の現場ですが、銀行員に融資をしたいと思わせる会社や経営者にはどんな特徴があるのかを聞いてみました。

  • どんな人あるいは会社なら事業再生に協力したいと思いますか?

  • 聞き手

  • 田口

  • 経営者に特別な才能がある、事業計画に可能性を感じられたら、融資をしたいなと思いますね。そういった方は融資の審査にも通過できるかと思います。

  • 経営者の考え方も関係しますか?

  • 聞き手

  • 田口

  • はい。事業再生に向けた強い意思と覚悟がある経営者は応援したくなります。窮境原因を考え、根本的な除去のための対策を見いだせる経営者の会社は事業再生ができる可能性も高いですね。

  • やはり会社は経営者の才覚や考え方が大きく関わってくるんですね。

  • 聞き手

  • 田口

  • 会社は経営者を写す鏡ですからね。さっきもお話したとおり、会社をダメにするのも経営者。逆に建て直せるかどうかも経営者にかかっています。

銀行が融資を断る本当の理由

融資を銀行から断られるには理由がありますが、なかなかそれは表には出てきません。ここからは銀行が融資契約を断る本当の理由に迫ってみましょう。融資を断られるケースをいくつか挙げ、田口に銀行員視点でその理由や背景について答えてもらいました。

  • 既存融資があって追加融資の契約を申し出たら断られたという話をよく聞きますが、なぜでしょうか?

  • 聞き手

  • 田口

  • 既存融資を契約している状態で、追加融資を申し込んでいただいた際に、「既存融資を完済するまで追加融資ができませんよ」とご説明させていただくことがあります。これは、銀行内での企業審査でランクが落ち、破綻懸念先や要注意先と指定されてしまったがために、実質今後の融資はできないという意味なのです。ご提案した事業計画に対して一度でも反発したら、今後の融資取引をしないという銀行の姿勢が背景にあります。

  • 新規融資取引を申し出る際に、「担保は?」と聞かれるのはどうしてですか?

  • 聞き手

  • 田口

  • 特に新規融資取引を行う際は、銀行側もかなり神経質になっています。信用がない企業や人にお金を貸す気はないのです。「担保は?」と聞かれたときは、「あなたに信用がないのだから、担保となるものがないとお付き合いしませんよ」と言われているのと同じなのです。

  • 3期分の黒字決算書がない企業は融資が断られるって本当ですか?

  • 聞き手

  • 田口

  • はい。基本的に銀行は美しい企業としか融資取引をする気はありません。「税金面から、敢えて赤字を出しているんだ」という理由も全く通用しないです。どんな理由にせよ、赤字であれば基本的には全く相手としません

  • 新規開業資金という理由で融資を断られたということもよく聞くのですが、その理由は?

  • 聞き手

  • 田口

  • 新規事業の内容によりけりです。時代の先駆け的な事業や、今後伸びないであろう分野には融資はしません。とにかく「貸したお金を何年で回収できるのか?」が大事。先が読みにくい市場は審査する人間が理解できないことが多く、初期審査で落ちてしまいます。

以上のように、銀行融資の審査に落ちる理由はさまざまです。冒頭のとおり、銀行も営利団体なので、審査に落ちるにはそれなりの背景があります。なかには、利用者が「融資を受けられるだろう」と自信満々に思っていても審査に落ちるケースもあるので、銀行側の事情を正しく把握しておきましょう。

経営者側の勘違いとは

「うちは融資を受けられる!」と経営者が思っていても、銀行融資の審査に通らないケースもあります。融資をあてにしていて審査に通らず倒産してしまったのでは目も当てられません。よくありがちな経営者の勘違いについて聞いてみました。

  • 主要取引銀行なのに融資を断られたという話もよく聞きますが、本当ですか?

  • 聞き手

  • 田口

  • はい。たとえ預金取引をたくさんしていたとしても、銀行はそのお客さまを優先先とは簡単に判断しませんその企業の世評や確実な実績、企業関係者の親族の属性や資産状況など、いろんな角度から判断をして、融資するかどうかを決めます
    「通帳をたくさん持っているから」「預金をたくさんしているから」「主要銀行として取引しているから」と言われても、銀行側からすると「はぁ、そうですか……」くらいにしか思わないのが本当のところです。

  • では、預金があるのに融資取引を断られることもあるんですね。

  • 聞き手

  • 田口

  • 確かに預金があって、世の中で評価されている企業に対しては、「お金を借りてくださいよ!金利も安くしますから!」と銀行側から営業することはあります。預金があるのにも関わらず、融資取引を断られるというのは、銀行から興味を持たれていないということです。企業の世評や人的な理由、信用情報など、何らかの問題がある可能性が高いですね。
    預金があるから、すでに取引があるからといって、必ず融資を受けられるとは限らないということを念頭に置いていただければと思います。

赤字債務超過でも交渉次第でうまくいく?

銀行から融資を受けるために乗り越えなければいけないハードルは決して低くありません。しかし、赤字や債務超過であっても審査に通る可能性はあります。なぜ銀行が貸したがらない状況であるにもかかわらず、融資が受けられるのでしょうか?そのポイントを聞きました。

  • 赤字や債務超過でも融資が受けられるケースというのはあるのでしょうか?

  • 聞き手

  • 田口

  • はい。少なからずあります。赤字や債務超過が一過性のものであり、返済してもらえるという確証があれば正常先とみなされて、審査に通ります。

  • 審査に通るためのポイントは?

  • 聞き手

  • 田口

  • 会社に十分な余剰資金や売却資金があり、返済能力に問題がないことを銀行へアピールしてください。事業計画書の内容も大変重要です。自社の強みを端的に示し、資産の売却や人員削減といったリストラ計画、固定費の削減なども入れるなど、万が一のことも想定しましょう。

銀行はあくまでも「営利企業」です。

最後に、田口が赤字企業再生センターを利用される方への想いを聞いてみました。

  • なぜ、田口さんは銀行員ではなく、赤字企業再生センターで企業をサポートしようと思ったのでしょうか?

  • 聞き手

  • 田口

  • 銀行は晴れの日に傘を差して、雨の日に取り上げる」そんな言葉を聞いたことがあるかもしれません。冒頭でもお話したとおり、銀行は営利企業です。
    担当者としては、利用者さまの想いや熱意が伝わって「どうにかしたい」「力を貸したい」と思っても、審査部門や上層部が首を縦に振らないと融資できません。そこに私たちの想いは反映されないのです「もっと裁量があれば……」私自身、今まで何度も悔しい想いをしてきました。今回お話したように、本音と建前が銀行には存在します。

    そこで、もっと正直に皆さまと向き合いたい、助けたいと思った方を助けたい、より多くの方や企業の力になりたい。そんな想いから私たちは赤字企業再生センターを設立いたしました。おかげさまで長い間多くの方から相談をいただき、今日まで想いを変えることなく存続しているのです。「銀行で融資を断られた」「すぐにでも資金が必要」「資金調達や事業再生の方法がわからない」という方は、一人で悩まれず、ぜひ私たちに相談していただきたいと思います

  • ありがとうございました。

  • 聞き手

赤字企業再生センターでは元銀行員である田口をはじめ、企業経営を知り尽くしたスタッフが赤字で悩む経営者さまの資金調達や事業再生をお手伝い。最大3,000万円まで出資可能。資金ショートの危機を乗り越え、その先の建て直しまで二人三脚でサポートいたします

赤字や債務超過、資金ショートでお困りなら、まずは赤字企業再生センターにご相談ください。

  |  

本コラムの監修者

事業再生コンサルタント
清水 麻衣子

元銀行マンで、多くの顧客の相手をしてきた実績と数々の中小企業を見てきた知見をもって、東京事業再生コンサルティングのコンサルタントへ。

通常のコンサル会社におけるコンサルタントとは大きく違い、豊富な知識と現場のリアルを把握している、企業を想った本質的なコンサルが魅力。

東京事業再生コンサルティングセンターの事業再生は1年無料