『法人税が払えない』どうなるの!? 生じる問題から対処法までを徹底解説!!

2020年04月21日

多くの中小企業経営者にとっての最大の悩みは資金繰りです。毎月の家賃の支払い、社員や従業員への給与の支払い、銀行など金融機関への借り入れの返済など、様々な支払いのための資金繰りに奔走しなければなりません。どうにか月末までに支払いが間に合ったかと思ったら、また翌月の支払いのための資金繰りを考えなくてはなりません。

こうして1年があっという間に過ぎていきます。そして最後に待っているのが、法人税など税金の支払いです。しかし、月々の支払いにも四苦八苦して資金繰りが難しいのに、このような法人税などの税金の支払いにまで手が回らない経営者も少なくありません。滞納したらいくら延滞税がかかるのか、差し押さえられたりしないか不安でたまりません。ここではそうした不安を解消するための対処法について、徹底解説していきます。

法人税が払えない場合、どうなるの?

月々の支払いや返済などのため資金繰りが難しく、法人税などが支払えなくなるとどうなるのか、延滞税はいくら取られるのか、あるいは差し押さえによって会社が倒産してしまうのではないかと不安でなりません。そこで、不安を払拭するためにも、滞納とは、延滞税とは、そして差し押さえとはどのようなものか知っておく必要があります。

滞納から差し押さえまでの流れ

滞納とは、支払うべき税金を納付期限までに納めないことですが、納付期限を1日でも超えてしまうと滞納とされてしまいます。ただ、滞納だからといって、直ちに財産を差し押さえられるわけではありません。

滞納から差し押さえまでには一定の手順があり、それに従って手続きが進められていきます。一般的な手順としては次のような流れになります。

  1. 督促状の送付(納付期限から50日以内)
  2. 電話や書面による催促、あるいは担当職員の訪問
  3. 滞納者の財産その他についての情報収集
  4. 催促に応じない場合に差し押さえ
  5. 差し押さえ財産の公売と換価
  6. 税金充当と残金の滞納者への配当

次に、これら一連の流れの中で延滞税や督促状など重要ポイントについて詳しく見ていくことにします。

延滞税

「延滞税」は、附帯税の一つで、税法などで決められた納付期限までに支払うべき税金を納付しない場合に課されるものです。納付後、修正や更生、あるいは決定を受けた際に、納付すべき税額に満たない場合にも課されます。

ちなみに、附帯税には延滞税以外にも、適正に申告されなかった、あるいは源泉徴収義務を怠ったなどの場合に課される「加算税」や法定の納付期限までに完納できない場合に課される「利子税」といったものもあります。

こうして法定期限までに支払わず滞納となると、期限の翌日から全額支払うまで、その期間に応じた延滞税が課されます。その税率については、次のような計算方法によって算定されます。なお、本税が1万円未満の場合には、延滞税は課されません。

  1. 法定の納付期限の翌日から、2ヶ月までの期間については、「年率7.3%」あるいは、「特例基準割合+1%」のいずれか低い利率を納付すべき税額に乗じる
  2. 法定の納付期限の翌日から2ヶ月経過する日の翌日以降は、「年率14.6%」あるいは、「特例基準割合+7.3%」のいずれか低い利率を納付すべき税額に乗じる

ここでいう「特例基準割合」とは、各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合です。

このように延滞税は、納付期限の翌日から2ヶ月を経過する日までと、それ以降では課される割合が大きく違ってきます。そのため、いつまでも滞納せずできるだけ早く支払うことが大切です。

督促状

「督促状」とは、法定の納付期限までに納付すべき税金が支払われなかった時に送付される書面です。その内容は、納付すべき税金を支払うべき旨、税目、納付期限などが記載されています。

督促状で注意すべきポイントとしては、税法上、督促状が発付されてから10日間のうちに滞納している税金が全額支払われないと、差し押さえが可能になってしまうということです。これはあくまでも原則で、通常は直ちに差し押さえられることはありませんが、そのまま滞納を続けていると、電話や書面による催促や担当職員による会社への訪問がなされることもあります。

一方、こうした催促や訪問と並行して売掛債権、所有している不動産や預貯金などの財産、戸籍や家族構成、その他様々な会社の財産や経営者の属性が詳細に調べられたりします。そのため、できるだけ早く税務署に支払う旨意思表示をしておくことが重要です。

差し押さえ

督促状の送付後、再三にわたる電話や書面による催促にも関わらず滞納を続けていると、いよいよ滞納処分としての差し押さえと最終的な公売・換価へと進んでいきます。

差し押さえの対象となる財産は、現金・預金、売掛債権、保険金、有価証券、不動産といった換価性のあるあらゆる財産が対象となります。

ただし、政策的な観点から、一部差し押さえが禁止とされている財産もあります。主な差し押さえ禁止財産としては、以下のものがあります。

  1. 日常の生活をする上で欠かせない家具や建具、寝具、畳、衣類といったもの。
  2. 生活に欠かせない3ヶ月間の食料品や燃料といったもの。
  3. 上記以外の日常生活上、最低限必要なもの。
  4. 棚卸資産を除く、会社の業務に欠かせない器具や備品その他のもの。
  5. 会社の実印・代表社員等、会社の業務を遂行する上で欠かせないもの。

こうして一部差し押さえを禁止された財産以外は公売にかけられたあと、金銭に換価され、支払うべき税金にあてられます。残余があれば滞納者へ配当するといった形で還付されます。

破産した場合はどうなるの?

会社を経営していると、今回の新型コロナウイルスや10年ほど前のリーマンショクのような不況で、経営危機に直面することも少なくありません。そして不幸にして会社が倒産してしまった時に、仮に滞納していた法人税等の税金があった場合どうなるのでしょうか。また、会社の破産と個人の破産では、滞納している税金の扱いに違いがあるのでしょうか。

まず、会社の破産は会社の解散事由の一つです。会社は解散結了登記により法人格を失い消滅します。納税義務者としての会社がなくなるため、その義務も消滅してしまうと考えられます。ただし、例外的に会社財産を代表者個人に移しておいた場合、破産管財人による否認権の行使で破産財団に戻され、課税対象になってしまうこともあります。

一方で個人の破産では、破産しても個人はそのまま存在し、また税金は「非免責債権」のため、支払い義務が免除されることはありません。

このように、破産と納税義務との関係では、会社と個人ではその取り扱いに大きな違いがあることに留意しておく必要があります。

         

法人税が払えない場合に考えられる対処法

パンデミックなどと呼ばれる今回の新型コロナウイルスによる急激な景気悪化などは、経営者の努力ではどうにもなりません。悪いことに今年は2月、3月といった多くの会社にとっての決算、確定申告にあたってしまいました。手元資金がショートしてしまった会社も少なくなく、法人税その他の税金が払えない状況です。

法人税の法定納付期限は、決算から2ヶ月以内となっていますから、このままではかなりの会社は法人税などが支払えず滞納となってしまいます。今回は、国も様々な特例措置を行って対応していますが、通常、このように法人税などが支払えず滞納してしまった場合に、考えられる対処法にはどのようなものがあるか見ていきます。

まず考えられるのが納税の猶予や差し押さえから換価までの猶予申請、そして税務署への直接相談といったものです。

納税の猶予申請

法人税のような国税には、「猶予制度」というものがあります。これは一定の要件に該当する場合、税務署に申請して認められると、納税や差し押さえによる換価などが猶予されるというものです。まず、納税の猶予申請から見ていきます。

納税の猶予の要件

災害、事業の休業や廃業、納税者や生計を一にしている家族の病気等の理由で、法人税などの国税を一時に納付できないと税務署から認められた場合、あるいは、本来の納付期限から1年以上経過したあと、確定した税額を一時に納付することができないと認められた場合などに、納税の猶予申請ができます。

納税の猶予の効果

納税の猶予が認められると、まず新たな差し押さえ、公売・換価といった滞納処分が執行されることはありません。また、すでに差し押さえられている財産がある場合でも、税務署に申請すれば、差し押さえが解除されることもあります。そして、認められた納税猶予の期間中の延滞税の全部または一部が免除されます。

このようにかなりの猶予の効果や待遇を受けられますから、この期間に納税資金を確保し、支払いを完了することです。

納税の猶予手順の流れ

納税の猶予を受ける一般的な流れについては次のようになります。

  1. 「猶予申請書(猶予を受けようとする金額が100万円以下の場合と100万円超の場合がある)」、担保を要する場合の「担保提供書」などの書類の作成と提出。
  2. 提出された書類等の審査、補正がある場合、補正通知書の送付(送付を受けた翌日より20日以内に補正されないと申請の取り下げとみなされる)。
  3. 審査の結果、猶予の許可がされた場合「納税の猶予許可通知書」が申請者に送付され、「分割納付計画」に沿った納付を行う。

審査の結果、猶予が不許可となる場合もあります。主な理由としては、猶予の要件に該当しない、猶予期間内に完納することができないと認められる時、審査の際、税務署職員の質問に回答しないなど。あるいは、不当な目的による申請など誠実になされた申請でないときなども猶予不許可となります。

納税の猶予が許可されたあとでも、猶予期間内での完納ができないと認められたり、分割納付計画通りの納付がなされない、不正な手段による猶予申請が許可されたことが判明したなどの理由で納税の猶予が取り消されたり、猶予期間が短縮されることもあります。この場合、不服申し立てをすることができます。

納税猶予期間

納税の猶予を受けることができる期間は、1年の範囲内で、申請者の財産や収支の状況に応じて、最も早く完納することができる期間となっています。また、当初の猶予期間と合わせて最長2年以内の範囲で猶予期間の延長が認められることもあります。

換価の猶予申請

換価の猶予の要件

換価の猶予を受けるための主な要件としては、以下のようなものがあります。

  1. 法人税などの国税を一時に納付することにより、事業の継続や生活の維持を困難にするおそれがあると認められること。
  2. 納税について誠実な意思を有すると認められること。
  3. 法定納付期限の6ヶ月以内に「換価の猶予申請書」を所轄の税務署に提出していること。
  4. 猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供があること。

換価の猶予の効果

換価の猶予が認められると、すでに差し押さえられている財産の公売と換価が猶予されます。また、差し押さえにより、事業の継続や生活の維持を困難にするおそれがある財産についての差し押さえが猶予されることもあります。そして、換価の猶予が認められた期間は延滞税の一部が免除されます。

なお、換価の猶予における手順の流れや猶予期間については、納税の猶予の場合と同様になっています。こうした猶予期間内に法人税の全額が納付された場合、延滞税の全部一部が免除されることになります。

税務署への直接相談

このような国税における猶予制度により、滞納処分としての差し押さえや公売・換価といった最悪の自体は回避できますが、これらの猶予申請に先立って、所轄の税務署への直接相談が極めて重要になります。

差し押さえなどの滞納処分を回避するためのポイントは、なんといっても督促状が送付されるタイミングです。先にも述べたように、督促状が送付された日から10日以内に滞納している税金を完納しないと、税法上では差し押さえが可能になってしまいます。ただあくまで原則であって、直ちに差し押さえられるといった処分はありません。

だからといっていつまでも放置していてはいけません。督促状を受けたら、まず所轄の税務署に問い合わせたり、直接訪問して相談することです。税務署の職員も人間ですから、誠実な態度で納税の意思を示せば、延滞税を含め一括での支払いを請求することはありません。分割による納税や金銭以外での物納に応じてくれることも少なくありません。

ファクタリングを利用する

税務署に相談し、納税や換価の猶予を受けながら、猶予期間に完納するわけですが、その際の納税資金をどこから調達するかも考えておかなくてはなりません。日々の経営の中で現金収支をしっかり管理し、捻出できればそれに越したことはありませんが、数ヶ月の猶予期間であればファクタリングを利用してもよいでしょう。

ファクタリングとは、手元にある売掛債権をファクタリング会社という買取り会社に売却・譲渡するものです。手数料分が割引かれ、残額を受け取るものです。短期の資金調達のためには有効ですが、比較的新しい資金調達手段のため、法の整備も完全ではなく悪徳業者もあります。そのため、利用に際しては事業者の事前調査をしっかり実施しておく必要があります。

会社の決算が黒字でも、月々の仕入れ代金の支払いや銀行への借り入れ返済などで手元のキャッシュフローが十分でなく、法人税などの税金の支払いにまで手が回らないといった中小企業の経営者も少なくありません。そうこうしているうちに納付期限がすぎ、督促状が送付されてきます。

ただ、督促状が送付されても直ちに財産を差し押さえられることは通常ありません。まずやるべきことは、所轄の税務署に直接相談に行き、納税や換価の猶予を受け、納付計画書に沿って確実に納付していくことです。
大切なことは、督促状や催促通知などを無視せず、誠実な態度で納税の意思を示すことです。

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本コラムの監修者

事業再生コンサルタント
清水 麻衣子

元銀行マンで、多くの顧客の相手をしてきた実績と数々の中小企業を見てきた知見をもって、東京事業再生コンサルティングのコンサルタントへ。

通常のコンサル会社におけるコンサルタントとは大きく違い、豊富な知識と現場のリアルを把握している、企業を想った本質的なコンサルが魅力。