会社の資金が底をついたらもうおしまい?倒産を防ぐためにまずやるべきこと

2026年10月30日

会社の資金が底をついたらもうおしまい?倒産を防ぐためにまずやるべきこと

通帳の残高を見るたびに、今月の給与や外注費、借入の返済をどう払うか頭を抱えている。そんな状況で、「もう会社はおしまいだ」と感じている経営者の方もいるのではないでしょうか。

しかし、資金が底をついたからといって、すぐに倒産が決まるわけではありません。大切なのは、焦って目先の支払いだけを乗り切ろうとせず、正しい順番で動くことです。

この記事では、資金が底をつく原因、まずやるべきこと、状況を悪化させてしまう行動、そして立て直しの選択肢を、建設業の事情も交えて解説します。

この記事のポイント

資金が底をついても、すぐに倒産が決まるわけではない

倒産に至るのは、支払いが止まり、立て直しの手段も尽きたときです。資金が尽きた段階で正しく動けば、選べる手段はまだ残っています。

ファクタリングの繰り返しや税金の放置は、資金不足を悪化させ

どちらも目先の支払いは乗り切れますが、翌月以降の資金をさらに減らします。金融機関や行政との話し合いでも不利な材料になります。

自力でのその場しのぎをやめ、早めに専門家へ相談することが近道

返済条件の見直しや再建計画づくりは、相談が早いほど選べる手段が増えます。自社の事情に詳しい専門家と一緒に動くことをおすすめします。

資金が底をついても、すぐに会社が終わるわけではありません

「会社の資金が底をつきました。我々はもうおしまいです」。毎日の支払いに追われる中で、そう感じている経営者の方もいるかもしれません。

しかし、手元の資金が尽きたことと、会社が終わることは同じではありません。まずは今の状況を正しく整理することから始めましょう。

「資金が底をつく」と「倒産」は同じではない

資金が底をついた状態は、一般的に資金ショートと呼ばれます。資金ショートとは、支払いに必要な現金が手元に足りなくなることです。似た言葉との違いは、次のとおりです。

状態 意味 会社への影響
資金ショート 支払いの時点で現金が足りない 支払い時期の調整や資金調達で乗り切れる場合がある
債務超過 負債の合計が資産の合計を上回っている すぐに倒産するわけではないが、融資の審査で不利になる
支払不能 支払うべき債務を継続して支払えない 破産手続きを始める理由になる

資金ショートの段階であれば、まだ立て直せる可能性があります。 ただし、手形を使っている場合は注意が必要です。手形の不渡りを2回出すと銀行取引停止処分となり、支払不能の状態にあることを示す有力な事実として扱われます。手形の期日に必要な資金は、最優先で確保してください。

倒産の多くは相談が遅れたことで起きている

東京商工リサーチによると、2026年度上半期(4〜9月)の倒産件数は5,373件で、前年同期より3.8%増えました。負債1億円未満の倒産が全体の77.0%を占めています。小規模な会社ほど倒産しやすい状況が続いているといえます。

また、2026年上半期(1〜6月)の倒産のうち、破産が占める割合は91.3%と過去最高でした。倒産した会社の約9割が、事業を続けながら立て直す方法ではなく、事業をやめる方法を選んでいることになります。

その理由の一つとして、相談が遅れることが挙げられます。資金が尽きてから時間がたつほど、返済の延滞や税金の滞納が重なり、金融機関との話し合いも難しくなります。立て直せたはずの会社でも、動き出すのが遅れると、破産しか選べなくなるのです。 資金が底をついた今が、動き出すタイミングです。

資金が底をつく主な原因

資金が底をつく原因は、会社ごとに異なります。ただし、多くの会社に共通する原因と、建設業ならではの原因に分けて考えると、自社の課題が見えやすくなります。原因が分かれば、どこから手を打つべきかも判断しやすくなります。

業種を問わず起きやすい原因

まずは、業種に関係なく多くの中小企業で起きている原因を見ていきます。近年は、会社の努力だけでは防ぎにくい外部の要因が増えています。特に影響が大きいのは、次の2つです。

物価高や人件費の上昇で利益が減っている

円安などの影響で、原材料費や燃料費、光熱費の上昇が続いています。人手不足による賃上げで、人件費の負担も重くなりました。

こうしたコストの上昇分を販売価格に上乗せできないと、売上が変わらなくても利益は減っていきます。利益が減れば、借入の返済や税金の支払いに回せる現金も少なくなります。売上が落ちていなくても、資金が尽きることは十分にあります。

借入の返済負担が重くなっている

新型コロナウイルス感染症の流行時には、多くの会社がゼロゼロ融資(実質無利子・無担保の融資)を受けました。その返済が本格的に始まり、毎月の返済額が経営を圧迫している会社も少なくありません。

さらに、金利の上昇によって、借入の利息の負担も増えています。十分な利益が出ていない状態で返済が続くと、手元の資金は少しずつ減っていきます。

建設業で特に起きやすい原因

建設業には、他の業種にはない取引の慣習があります。仕事が途切れず売上が立っていても、資金が足りなくなりやすいのが特徴です。ここでは、建設業の資金繰りを苦しくする代表的な3つの原因を解説します。

材料費や人工代の支払いが入金より先に来る

建設業では、材料費や外注費を工事代金の入金より先に支払うのが一般的です。職人の人工代(職人1人が1日働いた分の手間賃)も、毎月の支払いが先に発生します。こうした支払いを自社で一時的に負担することを、先行立て替えと呼びます。

一方、工事代金は完成後や締め日の後にまとめて入金されます。入金までの期間である支払いサイトが長いほど、立て替える期間も長くなります。受注が増えるほど立て替える金額も増えるため、忙しい時期ほど資金が苦しくなります。

資材や人件費が上がっても請負金額に反映しにくい

鋼材や木材などの資材価格は、近年大きく上昇しました。職人の人件費も、人手不足を背景に上がり続けています。

しかし、請負金額は契約の時点で決まっていることが多く、工事の途中で値上げを求めるのは簡単ではありません。発注者や元請けとの関係を考えて、値上げを言い出せないケースもあります。その結果、上がったコストを自社で負担することになり、工事を終えても利益が残らなくなります。

下請け構造の中で、支払い条件を自社で決められない

建設業界では、元請けから一次下請け、二次下請けへと仕事が流れる重層下請け構造が根強く残っています。下の階層にいる会社ほど、価格や支払い条件の交渉で弱い立場に置かれがちです。

元請けの都合で支払いサイトが延びたり、手形での支払いを求められたりすることもあります。入金の時期を自社で決められないため、資金繰りの計画が立てにくくなります。こうした事情が重なることで、建設業では運転資金が不足しやすくなるのです。

資金が底をついたときに、まずやるべきこと

資金が底をつくと、焦って目の前の支払いだけに対応しがちです。しかし、最初にやるべきことは、お金を集めることではなく、状況を正しく把握することです。ここでは、資金が尽きた直後に経営者自身がすぐ取り組める3つのことを紹介します。

資金が底をついたときにまずやるべき3つのこと:30日分の資金繰り表、支払いの優先順位、期限前の連絡

今日から30日分の資金繰り表を作る

資金繰り表とは、入金と支払いの予定を時系列で並べた表のことです。資金が底をついたときは、月単位ではなく日単位で作ることをおすすめします。作り方は次のとおりです。

  1. 今日時点の預金残高と手元の現金を書き出す
  2. 今後30日の入金予定(工事代金、売掛金の回収など)を日付ごとに書く
  3. 同じ期間の支払い予定(給与、外注費、返済、税金など)を日付ごとに書く
  4. 日ごとの残高を計算する

これで、何日に、いくら足りなくなるのかが分かります。不足する日と金額が分かれば、誰に何を相談すべきかがはっきりします。金融機関や専門家に相談するときにも、この表がそのまま話し合いの材料になります。

支払いに優先順位をつける

資金繰り表で不足が分かったら、支払いに優先順位をつけます。基本的な考え方は、事業を止めないために欠かせない支払いを先にすることです。

  • 従業員の給与:未払いは労働基準法に違反し、従業員の離職にもつながります。最も優先して確保します。
  • 工事の継続に欠かせない外注費・材料費:支払いが止まると工事が進まず、次の入金も遅れます。
  • 税金・社会保険料:払えない場合も放置せず、猶予を申請します。
  • 借入の返済:金融機関に返済条件の見直しを相談できます。

ただし、どの支払いを遅らせるかは、取引先との関係や契約内容によって変わります。判断に迷う場合は、専門家と一緒に整理することをおすすめします。それでも従業員の給与が払えない見込みのときは、支払日より前に事情を説明し、対応を考える必要があります。

金融機関・税務署・年金事務所に早めに連絡する

支払いが難しいと分かった時点で、関係する窓口に連絡します。借入は取引のある金融機関、国税は所轄の税務署、社会保険料は管轄の年金事務所が相談先です。

連絡するときは、作成した資金繰り表をもとに「いつ、いくら足りないのか」「いつなら払えるのか」を具体的に伝えます。支払う意思を示して相談すれば、返済条件の見直しや納付の猶予を検討してもらいやすくなります。

返済日や納期限を過ぎてから連絡すると、延滞や滞納として扱われ、その後の話し合いが難しくなります。

相談は、必ず期限より前に行いましょう。 連絡しにくいと感じても、期限前に一報を入れておけば、その後に取れる手段が残りやすくなります。

その場しのぎで資金不足を悪化させてしまう行動

資金が尽きると、目の前の支払いを何とか乗り切ろうとして、無理な手段を選んでしまうことがあります。しかし、その場をしのぐための行動が、かえって資金不足を深刻にする場合があります。ここでは、追い詰められた経営者が選びがちな4つの行動と、そのリスクを解説します。

ファクタリングを繰り返す

ファクタリングとは、売掛金を専門の業者に売り、入金日より前に現金化する方法です。すぐに資金を用意できる一方で、手数料がかかります。

項目 銀行融資 ファクタリング
資金の性質 借入 売掛金の売却
コストの目安 年利数%程度 1回あたり売掛金の数%~20%程度
資金化までの期間 数週間~1ヶ月程度 最短即日

ファクタリングを使うと、本来入るはずの売掛金が手数料の分だけ減ります。そのため翌月も資金が足りなくなり、再び頼るという状態に陥りやすくなります。

契約の内容が実質的にお金の貸し借りにあたる業者の中には、法外な手数料を取るところもあります。

税金・社会保険料を連絡せずに放置する

税金や社会保険料は、督促が来るまで支払いを後回しにしやすいため、つい放置してしまう経営者は少なくありません。しかし、滞納すると本来の金額に加えて延滞税や延滞金がかかり、負担は時間とともに増えていきます。

督促状が届いた後も放置すると、預金や売掛金が差し押さえられることがあります。売掛金が差し押さえられると、取引先に滞納が知られ、取引にも影響します。

2026年上半期(1〜6月)の税金滞納(社会保険を含む)による倒産は126件で、前年同期の約1.5倍に増えました。業種別では建設業が24件と、サービス業他に次いで多くなっています。

赤字の仕事を受けて支払いに回す

手元の資金を確保するために、採算が合わないと分かっている工事を受けてしまうケースがあります。目先の入金で、今月の支払いを乗り切るためです。

しかし、建設業では材料費や外注費を先に支払うため、赤字の工事を受けるほど立て替える金額が増えます。入金額が費用を下回るため、工事が終わるたびに会社の資金は減っていきます。受注を増やしても資金不足は解消せず、かえって資金が尽きる時期を早めてしまいます。 工事ごとの原価を把握し、赤字の工事を見分けることが欠かせません。

家族からの借金や高金利ローンに頼る

金融機関から融資を断られると、家族や親族からお金を借りたり、審査の早い高金利のローンを使ったりして、不足分を埋めようとする経営者もいます。

しかし、こうした借入は資金不足の原因を解消するものではありません。返済の負担が増え、翌月以降の資金繰りがさらに苦しくなります。会社の問題が、家族の生活にまで広がるおそれもあります。

「審査なし」「即日融資」をうたう業者の中には、登録を受けていない違法な貸金業者(いわゆるヤミ金融)も含まれます。

資金が底をついた会社が取れる立て直しの選択肢

資金が底をついても、会社を立て直すための手段は残されています。ここでは、資金が尽きた会社が取れる代表的な4つの選択肢を紹介します。向いている状況はそれぞれ異なるため、自社の状況に合わせて組み合わせることが大切です。

会社を立て直す選択肢:リスケジュール、納付の猶予、公的支援と再建計画づくり

リスケジュールで借入の返済負担を減らす

リスケジュール(リスケ)とは、金融機関に借入の返済条件を変えてもらうことです。毎月の返済額を減らしたり、一定期間は利息だけの支払いにしたりすることで、手元に資金を残せます。

リスケジュールを受けるには、一般的に、今後どのように利益を出して返済していくかを示す経営改善計画書の提出を求められます。期間は目安として半年から1年程度です。その間の経営改善の進み具合を見て、条件の延長や見直しが行われます。

注意したいのは、リスケジュール中は新しい融資を受けにくくなる点です。返済を待ってもらう間に、収益をどう改善するかが立て直しの成否を分けます。 金融機関に納得してもらえる計画と、相談の進め方を準備しておくことが大切です。

税金や社会保険料の納付を延ばす

税金や社会保険料をすぐに払えない場合は、納付を一定期間待ってもらえる制度があります。

  • 国税:「納税の猶予」と「換価の猶予」があります。災害や病気、事業の休廃業、事業での大きな損失などにより、納付が難しい場合に利用できます。相談先は所轄の税務署です。
  • 社会保険料:日本年金機構の「納付の猶予」と「換価の猶予」があります。相談先は管轄の年金事務所です。

猶予が認められると、原則として1年以内の範囲で分割して納付できます。延滞税や延滞金の一部が免除される場合もあります。

申請による「換価の猶予」は、原則として納期限から6か月以内に申請する必要があります。

猶予を受けるには、一般的に財産の状況や今後の納付計画を示す書類が必要です。期限に間に合うよう、早めに窓口へ相談することをおすすめします。

国の相談窓口や保証付き融資を使う

国は、経営が苦しい中小企業向けにさまざまな支援を用意しています。代表的なものは次の3つです。

  • 中小企業活性化協議会:各都道府県に設置された公的な相談窓口です。金融機関と調整しながら、収益力の改善や再生計画づくりを支援します。
  • 経営改善計画策定支援事業:専門家と経営改善計画を作る費用の一部を、国が負担する制度です。
  • セーフティネット保証:通常の保証限度額とは別枠で信用保証協会の保証を受けられるため、借入が多い会社でも資金を調達できる可能性があります。

いずれも利用には条件があるため、事前に窓口で確認してください。

事業再生の専門家と再建計画を立てる

事業再生と倒産のどちらが適しているかは、会社の収益力や資産状況、借入の規模、経営者自身の意向によって異なります。まだ収益を生む事業が残っている場合や、取引先・従業員との関係を守りたい場合は、事業再生によって立て直せる可能性が高くなります。一方で、事業の継続そのものが困難な状況であれば、早めに整理を決断することで、経営者個人への影響を抑えられることもあります。いずれにしても、判断を誤ると選べる選択肢が狭まってしまうため、資金繰りに行き詰まる前の早い段階で、専門家に相談しながら現状を正確に把握し、検討することが重要です。

東京事業再生コンサルティングセンターができること

東京事業再生コンサルティングセンターは、創業35年、50社以上の会社を完全黒字転換に導いてきた事業再生の専門家集団です。建設業をはじめ、製造業や運送業など幅広い業種の立て直しを支援してきました。

建設業では、人工代や支払いサイト、下請け構造といった業界の事情を踏まえ、現場の実情に合った再建計画を作ります。元銀行員のスタッフが金融機関との話し合いに同席し、リスケジュールの相談まで伴走します。本気で会社を立て直したい経営者には、弊社の自己資金による資金面のバックアップも行っています。

資金が底をついても、まだ打てる手はあります。一人で抱え込まず、まずは弊社にご相談ください。

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よくある質問

会社の資金が底をついたら、従業員の給料はどうすればいいですか?

従業員の給料は、最も優先して確保すべき支払いです。資金繰り表で不足が分かった時点で、外注費や税金などの支払い時期を調整できないか検討しましょう。それでも払えない見込みのときは、支払日より前に従業員へ事情を説明し、専門家に相談することをおすすめします。

ファクタリングをやめたいのですが、すぐにやめられますか?

一度にやめると、翌月以降に入る売掛金がすでに売却済みのため、資金が足りなくなる場合があります。利用額を少しずつ減らしながら、リスケジュールなどの方法に置き換えていく計画が必要です。当センターでは、ファクタリングから抜け出すための資金繰りの見直しも支援しています。

税金を滞納していても相談に乗ってもらえますか?

はい、ご相談いただけます。滞納がある状態でも、猶予制度の申請や再建計画の作成によって立て直しを進められる場合があります。差し押さえを受ける前に動くほど選べる手段が増えるため、早めにご相談ください。

立て直しにはどれくらいの期間がかかりますか?

会社の状況によって異なります。目安として、資金繰りの安定までに数か月、黒字化までに1〜3年程度かかるケースが一般的です。まずは現状を把握し、会社ごとの見通しをお伝えします。

建設業以外の業種でも相談できますか?

はい、ご相談いただけます。当センターは建設業のほか、製造業、運送業、清掃業、不動産業など、幅広い業種で事業再生を支援してきました。年商5,000万円以上の中小企業であれば、業種を問わず対応しています。

まとめ

資金不足に悩む経営者資金が底をついても、すぐに倒産が決まるわけではありません。資金ショートの段階で正しく動けば、会社を立て直せる可能性は十分に残っています。

まずは30日分の資金繰り表を作り、いつ、いくら足りなくなるのかを把握しましょう。そのうえで支払いの優先順位をつけ、金融機関・税務署・年金事務所には期限より前に連絡することが大切です。

一方で、ファクタリングの繰り返しや税金の放置、赤字の仕事の受注、高金利の借入は、資金不足をさらに悪化させます。リスケジュールや納付の猶予、国の相談窓口などを使いながら、会社全体の再建計画を立てることが、遠回りに見えて近道です。

追い詰められた状況で一人で判断するほど、選べる手段は減っていきます。東京事業再生コンサルティングセンターでは、建設業の実情に合わせた立て直しを支援しています。まずはお気軽にご相談ください。

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