零細企業が赤字でも生き残るためのシナリオとは

2024年08月30日

日本に存在する企業の8割は従業員5名以下、資本金1,000万円以下の零細企業と言われています。その零細企業には赤字のまま存続している会社も少なくありません。だからといって業績が悪化している状況を放置していると、そのうち倒産してしまうおそれもあります。

この記事では赤字で悩まれている零細企業の経営者の方向けに、赤字零細企業経営者が直面するリアルな問題や経営を立て直すための方法について解説します。

零細企業が赤字でも潰れないのはなぜか

「なぜあの会社は赤字が続いていても続けられているのか?」「なぜあの会社はどう見ても経営がうまくいっていなさそうなのに倒産しないのか?」と思われたことがある方もいらっしゃるかと思います。

冒頭でも述べたように、日本国内の企業の大多数は零細企業で、赤字が続いている会社も少なくありません。まずは零細企業が赤字でも潰れない理由について考察してみましょう。

中小企業と零細企業における赤字企業の割合と影響

日本国内の99%が中小企業であり、8割が零細企業といわれています。また、2024年度『国税庁統計法人税表』によると、日本の赤字法人率は64.8%。企業の半数以上が赤字というのが実態です。諸外国の赤字法人率は50%程度なので、日本は特に赤字企業が多い国といえます。

一部では税務上有利に働くよう戦略的に赤字を計上している企業もありますが、多くの中小・零細企業では売上が不足している、人件費や経費がかかりすぎているなどの要因で赤字となっています

そのような状況でも経営が存続できているのは、銀行融資や補助金・助成金の存在が大きいです。赤字企業の多くは銀行から融資を受けて運転資金を確保しながら存続しています。また、企業が倒産すると雇用の喪失や産業の衰退につながるため、国や自治体はさまざまな補助金・助成金制度を用意しており、それらを活用して経営を存続させているケースも多いです。
しかし、融資や補助金・助成金で生き残ったとしても、赤字のままでは状況が危ういことには変わりありません。市場の変化や会社の状況の変化などによって容易に倒産してしまうリスクを抱えながら経営を存続させているのが赤字零細企業の実情です

3期連続赤字の会社は立て直しできるのか

特に3期連続で赤字を出している場合、相当会社が危険な状況に陥っています。このレベルになると会社は完全に赤字体質に陥っているはずです。さすがに3期赤字ともなると金融機関から追加融資を受けるのも難しくなってしまいます。国や自治体の補助や助成もずっと続くわけではありません。

資金繰りが悪化すれば仕入れ費や外注費など取引先への支払い、固定費、従業員への給料の支払いなどができなくなります。そうなれば遅かれ早かれ自己破産・倒産という結末を迎えるでしょう。

しかし、3期連続赤字であってもまだ組織を再編する、コストを削減する、売上をアップさせるなどの方策をとって事業を立て直すことは十分可能です。実際に倒産寸前の零細企業が優良黒字企業にまでV字回復した事例も数多くあります

赤字から経営を立て直すための術

赤字が続いていたとしても、諦めなければまだ事業再生の可能性は残っています。ここからは赤字から経営を立て直すための基本的な方策について4つご紹介します。まずはここからはじめていきましょう。

人件費やコスト削減による経営改善

赤字とは支出が収入を上回っている状態であり、経費や人件費などの支出を抑えることで、赤字を改善できる可能性があります。特に企業においては人件費が大きな支出となります。給料を減らす、リストラをするという方法もあれば、正社員を業務委託やアルバイトなどに転換することで、人件費や社会保険料の負担を軽減するといった方法もあります。

しかし、企業は人材がいてこそです。今まで頑張って働いてくれた従業員の給料を下げる、雇用転換や解雇するのは最終手段として考えておくべきです

まずは経費のムダを見直す、固定費を削減するといった方向から支出を徐々に減らしていきましょう

資金調達で生存を目指す

特に売上が減少して資金繰りが厳しい場合は、運転資金の調達方法についても考えてみましょう。銀行から融資を断られた場合でもまだ手立ては残っています。

たとえば地方自治体や金融機関、信用保証協会が連携して実施する制度融資、日本政策金融公庫が実施しているセーフティネット貸付、企業再建資金などの救済制度の活用も検討してみましょう。また、売掛債権があるのであれば、それを譲渡して現金を調達するファクタリングという方法もあります。

以下の記事では資金繰りが厳しい状況でもできる資金調達方法について詳しくご説明していますので、ぜひこちらも併せてお読みください。

また、同時にキャッシュフローを改善していくことも重要です。いくら資金を調達しても企業の財務体質が改善されていなければ意味がありません。無駄な支出を減らし、収入(売上)が得られる方法を考えましょう

銀行から追加融資を受けるにせよ、上記のような救済制度を活用するにせよ、返済計画や再生計画の提出を求められます。

できるところの節税をする

赤字の状態では税金の支払いも大きな負担となります。消費税は売上が上がっている以上は黒字でも赤字でも支払わなければなりません。また、法人住民税、法人事業税に関しても一部支払いが求められます。

たとえば前年度に支払った法人税の還付が受けられる欠損金繰り戻し、今期分の欠損金を翌年に繰り越す欠損金繰り越しといった手段で法人税や法人住民税、法人事業税の負担を軽減することが可能です。

赤字企業ができる節税の方法については、以下の記事でさらに詳しくご紹介しています。

事業の悪化を防ぐために環境分析を行う

会社の立て直しを行う前に、まずは自社が置かれている状況を正確に把握しておきましょう。現状を知らずしては、再生までの道筋も見えてきません。経営者が会社の状況を把握しておかなかったがために、知らず知らずのうちに赤字に転落してしまったというケースも多いです。

財務状況はもちろん、自社の体制や経営理念、中長期計画なども見直すことで、再生につながります

赤字零細企業経営者が直面するリアルな問題

赤字経営を続けていた場合、倒産のリスクが高まるのはもちろんですが、それ以外にもさまざまな弊害が発生するおそれがあります。

ここからは事業再生のプロが目の当たりにした、赤字零細企業経営者が直面するリアルな問題について見ていきましょう。

資金調達ができない

資金調達ができないという問題は、赤字経営から事業再生を果たすうえでは必ずクリアしなければならない命題です。しかし、前述のように赤字が何期も続いていると銀行からの融資が受けづらくなってしまいます。資金繰りが悪化していて資金調達ができなくなってしまったとなるといよいよお手上げです

ここで諦めてしまうのか、動き続けるかによって結果は大きく変わってきます。融資を断られてしまったとしても、公的な支援制度の活用や投資家による出資、ファクタリングの利用など、資金を調達する方法はまだ残されています

事業承継ができない

特に引退を考えられている経営者の方にとって、事業承継は大きな問題です。また、若い方であってもいつかは第一線から退くときは必ず来ます。少子高齢化の影響で後継者不在に悩まれている経営者の方は少なくありません。まして会社が赤字の場合、親族も継ぐのを嫌がる傾向があるため、後継者探しは非常に難航するケースが多いです。従業員に経営を引き継ぐにしても、断られてしまう可能性があります。

ただ、事業承継に関してもさまざまな方法があります。特に近年では他の企業に会社を買い取ってもらうM&Aという方法をとる企業が増えてきました。

中小企業の事業承継・後継者不在問題を解決する方法については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。

社員をリストラせざるを得ない

前述のとおり、業績が悪化したら支出を減らす必要があります。事業にかかるコストのなかでも特に大きいのは人件費です。しかし、経営者としては今まで頑張ってくれた社員をリストラする行為はなんとしてでも避けたいものです。また、安易に従業員を解雇すれば悪評が立ち今後のビジネスや採用活動に悪影響が出る、労働基準法に抵触するなどのリスクもあります。

まずは役員賞与を減らす、経営者個人の資産を会社に貸し出して給料の支払いに充てる、資金を調達するなどの方法をとりましょう。それでも状況が改善できないのであれば、減給をする、雇用形態を見直すなどの手段をとります。繰り返しになりますが、リストラは最終手段です。

倒産を回避したい

赤字のまま経営を続けていたら、遅かれ早かれ倒産するおそれが高いです。最悪の事態を避けるためには、今すぐ事業再生に取り掛かりましょう。会社の現状を正しく把握し、無駄な支出を抑え、売上を向上させることができれば、倒産の危機を回避できます

とはいえ、それができずに悩まれている経営者の方もいらっしゃるかと思います。ぜひ一人で抱え込むのではなく、事業再生のプロに相談してみましょう。

赤字の零細企業の経営に関するお悩みはプロの事業再生コンサルタントへ

事業再生の相談先には弁護士や中小企業診断士、顧問税理士、経営コンサルタントなどさまざまあります。立て直す上で重要なのは道筋をしっかりと立てて、効果ある施策を実行していくことです。

一番良いのはやはりその道のプロに相談すること。事業再生コンサルタントであれば、さまざまな事例やノウハウをもとに、会社を分析して施策の実行を手助けしてくれるはずです。

業績悪化に悩む多くの経営者と接してきた経験から、親身に話を聞いてくれるでしょう。事業再生をお考えなら、第三者の力を借りてみられることをおすすめします。

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事業再生を考えられている零細企業の経営者様は、ぜひ東京事業再生コンサルティングセンターにご相談ください。弊社は30年前に創業し、これまで50社もの赤字中小・零細企業様を優良黒字企業へとV字回復に導いてきました。その経験から培われたノウハウと高い専門知識をすべて貴社に注ぎ込みます。

黒字企業の経営者や元銀行員もコンサルタントとして在籍し、自己資金力も高いため、資金面でのサポートも可能です。

経営を立て直すのにコンサルタントがそれを邪魔するのは本末転倒です。報酬を頂戴するのは黒字企業に回復してからで構いません。まずは事業再生に集中していただくために、支出を減らしていただくために、最初の1年間は無料でコンサルティングサービスをご提供します。

私たちがパートナーとしてともに事業再生の道のりを歩みます。まずは経営者様が抱えられているお悩みや現場をお聞かせください。

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本コラムの監修者

事業再生コンサルタント
清水 麻衣子

元銀行マンで、多くの顧客の相手をしてきた実績と数々の中小企業を見てきた知見をもって、東京事業再生コンサルティングのコンサルタントへ。

通常のコンサル会社におけるコンサルタントとは大きく違い、豊富な知識と現場のリアルを把握している、企業を想った本質的なコンサルが魅力。

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