建設業向け事業再生ガイド【成功事例あり】

2026年01月14日

建設業向け事業再生ガイド【成功事例あり】

建設業は資金繰りが厳しくなりやすい

建設業はそもそも「売上はあるのに、お金が残らない」状態に陥りやすい業種です。工事は受注してから入金まで時間がかかり、その間に材料費・外注費・人件費などが先に出ていきます。さらに、値引きや追加対応が重なると、黒字のつもりでも現金が枯れていきます。まずは資金繰りが悪化しやすい典型パターンを押さえましょう。

先行コストが大きい

建設業の資金繰りが苦しくなる最大の理由は、先行コストの大きさです。着工と同時に材料費の支払いが発生し、外注費も出来高で支払う場面が多い一方、発注者からの入金は工事完了後や検収後になることが珍しくありません。つまり「先に払って、後で回収する」構造です。

この差が大きいほど、資金繰りは綱渡りになります。現場が増えるほど必要運転資金も増え、急成長がそのまま資金ショートにつながることもあります。資金繰りが厳しい会社ほど、売上を追う前に“入金までの距離”を短くする工夫が必須です

赤字受注が多い

「とりあえず仕事を切らしたくない」「下請けの立場で単価交渉が弱い」などの理由で、赤字受注が積み重なるケースも少なくありません。見積段階では利益が出る想定でも、値引き要求に応じたり、着工後の追加対応をサービスで行ったりすると、あっという間に粗利が消えます

赤字受注が怖いのは、決算の数字以上に“現金”が減る点です。赤字工事を回すほど資金が抜け、支払いのためにさらに仕事を取る…という悪循環に入ります。一件一件の工事を「粗利が残る形」に戻せない限り、資金繰りは改善しません。

多重下請け構造で薄利

多重下請け構造に組み込まれると、中間マージンが積み上がり、末端の単価は薄くなりがちです。薄利の状態では、少しの手戻り・追加作業・資材高騰で利益が簡単に吹き飛びます。しかも工期はタイト、指示は変わりやすく、管理負担だけが増える。結果として「忙しいのにお金が残らない」状態が常態化します

さらに、支払いサイトが長い取引だと、利益が薄いだけでなく資金繰りも圧迫されるため、薄利と資金繰り悪化が同時に進んで、立て直しが難しくなります

建設業の資金繰り悪化には、往々にしてこうした構造的な要因が絡み合うのです。より詳しく知りたい方は、以下の別記事もあわせてご覧ください。

建設業の事業再生で最も重要な考え方

建設業の事業再生で最も重要なのは、難しい経営理論よりも「粗利」と「現金」を最優先にすることです。売上が伸びても粗利が薄ければ資金は減り、粗利があっても現金が残らなければ倒れます。再生局面では、まず“生き残る形”に会社を戻す必要があります。

とにかく一件一件の粗利を最大化させる

再生の最優先は、工事ごとの粗利を最大化することです。粗利とは、売上から材料費・外注費など直接原価を引いた「現場で残るお金」です。ここが薄いと、どれだけ現場を回しても会社は疲弊します。

具体的には、赤字案件を見える化して止血し、値引きや追加サービスで消えている利益を取り戻し、加えて材料の手配方法、外注単価、段取りのムダ、現場の手戻りを洗い出し、粗利率を上げる打ち手を一つずつ積み上げます“利益が出ない仕事を続ける”ことこそが最大のリスクです。まずは一件一件を黒字構造に戻し、会社が呼吸できる状態を作りましょう。

とにかく現金を残す

粗利だけでなく、現金を残すことも同じくらい重要です。建設業は入金が遅れやすく、支払いが先に来ます。利益が出ていても現金が尽きれば倒産します。再生局面では、資金繰り表で「いつ、いくら足りなくなるか」を見える化し、入金条件・支払い条件・工期と出来高請求を調整します。不要不急の支出を止めるのも大切です。

現金が残れば、赤字案件を断る判断もでき、良い人材や協力会社を守れます。逆に現金がないと、条件の悪い仕事を受け続けるしかなくなります。

実現するために重要な行動

「粗利最大化」と「現金を残す」を実現するには、日々の行動を変える必要があります。感覚で現場を回すのではなく、数字で管理し、見積の型を整え、サービス工事を止め、受注構造そのものを見直す。この4つが揃うと、資金繰りは目に見えて改善し始めます。

粗利管理

粗利管理とは、工事ごとに「いくら残るか」を事前と事後で把握し、ズレの原因を潰すことです。見積段階で想定した粗利と、実際に残った粗利が違うなら、どこで原価が増えたのか(外注、材料、手戻り、段取りロス)を記録します

この記録がない会社は、赤字の原因が分からず、同じ失敗を繰り返します。逆に、粗利管理ができる会社は、単価交渉や工程調整にも根拠を持てます。

再生期は特に「赤字を出さない」ことが最優先です。粗利管理は、会社を守る最も現実的な武器になります。

適正な見積の提示

資金繰りが苦しい会社ほど、見積で利益を取り切れていないケースが多いです。適正な見積とは、原価に対して“必要な利益”を上乗せし、追加対応が起きても崩れにくい設計になっていることです。材料高騰、外注単価の上昇、近隣対応、現場管理の工数など、見積に乗せるべき要素を抜けなく整理し、説明できる形にします

「高いと言われたら下げる」ではなく、「この金額でないと品質と安全を守れない」という見積に変えることが重要です。適正見積が出せるようになると、価格以外で選ばれ、粗利が残り、資金繰りも安定します。

サービス工事をしない

サービス工事は、再生局面では特に危険です。現場での“ついで対応”が積み重なると、材料費も工数も増えますが、請求は増えません。その結果、粗利が削られ、現金が減ります。「関係が大事だから」「揉めたくないから」と無償対応を続けると、会社が先に潰れます。

守るべきは現場の美談ではなく、会社の継続です。対策はシンプルで、追加は必ず記録し、作業前に金額と範囲を合意すること。サービス工事を止められる会社から、資金繰りは立ち直っていきます。

元請け工事を増やす

元請け工事を増やすと、単価と条件の主導権が取りやすくなり、粗利と現金が残りやすくなります。下請け中心だと、薄利・長い支払いサイト・無理な工程に引っ張られがちです。元請け比率を上げることで、見積の出し方、請求条件、工程管理を自社で設計できる範囲が広がります。

もちろん簡単ではありませんが、紹介導線の強化、実績の見せ方、提案力の標準化など、地道な積み上げが効果を出します。詳しくは以下の記事で解説しています。

もう手遅れ……資金繰りがギリギリの場合

ここまでの改善は本来“早めに”着手すべきですが、現実にはすでに資金繰りがギリギリの会社も多いはずです。支払いが迫り、銀行は動かず、現場は止められない……この状態では「改善」だけでなく「当面の現金確保」を同時に進める必要があります。焦るほど危険な選択をしがちなので、選択肢を冷静に整理しましょう。

融資・補助金など

融資や補助金は有効な手段ですが、この記事を読んでいるほとんどの経営者の方は、融資や補助金でどうにかなる段階は過ぎ、そもそも融資が下りない状況でしょう。補助金は入金まで時間がかかり、書類対応も必要です。融資も審査があり、決算内容や資金繰りの状況によっては難しい場合があります。

だからこそ、これらを「最後の希望」として待つのではなく、並行して別の現金確保策も検討する必要があります。重要なのは、資金繰りが尽きる前に動くことです。手遅れ寸前になるほど、選択肢は減り、条件は悪くなります。

ファクタリング

ファクタリングは、売掛金を早期に現金化できる手段として知られています。入金を前倒しできるため、短期的な資金繰り改善には効果があります。ただし、手数料が高くなりやすく、使い方を誤ると「資金繰りの延命」にしかならない点が注意です。ファクタリングで一息ついても、粗利が薄いまま現場を回せば、また同じ状況に戻ります。

つまり、ファクタリングは“再生の時間を買う手段”であって、根本解決ではありません。使うなら、同時に赤字工事の停止・見積是正・支払い条件の調整まで踏み込む必要があります。

ファクタリング以外の手段

ファクタリング以外にも、資金確保の手段はあります。たとえば、資産の売却、支払い条件の交渉、債権の活用、短期資金の組み替えなどです。ただし、急場ほど高コストな手段や危険な取引に手を出しやすくなります。

重要なのは「今いくら必要で、いつ返せるのか」を数字で把握し、手段ごとのメリット・デメリットを比較することです。現金が足りない焦りだけで選ぶと、手数料負担や契約条件で首が回らなくなる可能性があります。

ファクタリング以外の資金調達法の詳細については、以下の記事をご覧ください。

東京事業再生コンサルティングセンターに相談する

資金繰りがギリギリの局面では、もっとも大事なのは「確実に現金を確保し、倒れない形を作る」ことです。東京事業再生コンサルティングセンターは建設業の事業再生に強く、現金の確保が着実に実現できる点が大きな強みです。融資が難しい、補助金を待てない、ファクタリングだけでは延命にしかならない……そんな状況でも、現金を確保しながら、粗利改善と受注構造の見直しを同時に進められます

資金ショートは一度起きると取り返しがつきません。だからこそ、限界を超える前に、専門家と一緒に「今やるべき順番」を決めることが重要です。相談は早いほど選択肢が多く、条件も良くなります。

建設・工事業の再生成功事例

建設業の再生は、机上の理論ではなく“現場改善と数字”の積み重ねで進みます。実際に、資金繰りの立て直しと受注構造の改善によって、再生を成功させた事例もあります。まずは具体例を見て、再生の現実感を掴んでください。

成功事例 1電気工事事業、フィットネスジム事業など

株式会社友電社

私の経営に対する意識が180度変わりました。資金面も含め「経営とは」からご指南いただき、必要不可欠な存在です。

成功事例 2公共造園工事事業・警備業など

ガーデナーナカニシ株式会社

親身に話を聞いてくれる、時には厳しく言ってくれる。
資金面でも多く助けていただき、感謝を表しきれません。

建設業の事業再生ならコンサルティングセンター

建設業で業績が下がっている場合、問題は売上ではなく、粗利と現金の設計にあるケースが多いです。先行コスト・赤字受注・薄利構造が重なる建設業では、放置すれば資金は必ず尽きます。だからこそ、再生では“止血→現金確保→粗利改善→受注構造改革”の順で、やるべきことを絞って進める必要があります。

東京事業再生コンサルティングセンターなら、資金繰りの見える化、現金確保の手当て、工事別の粗利改善、見積と管理の型づくりまで、根本から支援できます。ひとりで限界まで抱え込めば、判断が遅れて選択肢は減ります。まずは現状を整理するところからで構いません。早い相談が、会社と従業員を守る最短ルートです。

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本コラムの監修者

事業再生コンサルタント
清水 麻衣子

元銀行マンで、多くの顧客の相手をしてきた実績と数々の中小企業を見てきた知見をもって、東京事業再生コンサルティングのコンサルタントへ。

通常のコンサル会社におけるコンサルタントとは大きく違い、豊富な知識と現場のリアルを把握している、企業を想った本質的なコンサルが魅力。

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